lisapapaさんのページ
▼ある古本市で見つけた本。実は家の本棚にもある。続編も持っているし、エッセイ集も、さらに「青春日記」というのもある。文庫版も持っている。ところが100円だったから、また買ってしまい、再読してしまった。▼中学生のときに初めて読んで以来ずっと、彼の影響を受けている。というか、すべての思考の基本スタイルになっていると言っても過言ではない。▼情報の豊富さ、新鮮さ。文章のリズム、ユーモア。ジャーナリストとしての確かな目と、名コラムニストとしての筆力。だが、なんといっても引き付けられるのはドナルド・キーンも認めた*「ヒューマニスト」深代惇郎の暖かさ、強さだろう。この本で一番好きな頁は「コントラスト」と題された、P206だ。▼「日航機がリビアに着いて、日本赤軍の事件は幕を下ろした。」とはじまって、「悪寒のはしる話より、心の洗われる話の方が良い。」と韓国の詩人、金芝河の「良心宣言」を紹介する。▼それは、「拘束される前に自分の良心にかけて非転向を誓い、体の自由が奪われたあとの調書などはすべて無効である、とあらかじめ宣言しておく」ものである。と続く▼そして、コラムの最後の一文「金芝河と赤軍。人間の偉大さと卑小さには、なんと遠い隔たりのあることであろう。」(1975.8.9)▼この「なんと遠い隔り」の「なんと」の中に込められた、人間に対する信頼と希望が「ヒューマニズム」の源泉なのだ。
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復刊リクエスト投票
楽天少女通ります 私の履歴書
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深代惇郎エッセイ集
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(それはともかく)この本は名著ですから。なんど引用したか自分でもわかりません(笑)(2006/07/09)
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