復刊リクエスト投票

• 飛行機設計論

  【著者】山名正夫, 中口博

  欧米の飛行機設計論の本をいろいろと探し，手に入れてみたのですが，どれも帯に短したすきに長しでした．実務者の方が書いた本は理論に乏しく，学者が書いた本は単なる理論の羅列に終わっています．
  この飛行機設計論は，戦時中「彗星」，「銀河」を自ら設計主任として開発した実務経験をもち，東大の航空学科で設計論研究や卒業設計の指導という，実務経験と理論の両方を兼ね備われた著者の長年にわたる努力の結晶です．
  この本は世界に誇るべき本です．
  このような教科書なしに，航空機産業が日本で栄えることはないでしょう．(2020/03/09)

• 最後の30秒 -羽田沖全日空機墜落事故の調査と研究

  【著者】山名正夫

  「実証実験」などと称し，特に新しく重要な技術も投入されていない自動運転車を公道が走っている．日本の社会，特に学術関係社会にあるムード先行，産業界にあるPR先行という悪弊の結果，人身事故が多発することが心配です．自動運転技術の開発に携わる方々には，ぜひこの本を読んで，技術者としての心構えを学んでいただきたい．朝日新聞社はぜひご協力いただきたい．
  
  また，飛行機の設計に役立ついろいろな原理を，明快に解説している．単なる事故調査や感情的なエッセイではない．著者が亡くなるまえの10年間の努力の結集．(2020/03/09)

• 電磁気学　スレイター・フランク

  【著者】スレイター・フランク著　柿内訳

  現象の解説が言葉を尽くしての文章である．わたくしは，教科書とはこういうものなのだと思っていたが，最近の大学の教科書には薄っぺらで，どこかの本のコピー＆ペーストのようなものが多く，あらためてスレイター＆フランクが電磁気学の一部を自ら切り開いてきた世界一流の科学者であることを認識した．こういう観点で評価すべき本だと思います．数式の説明などは少々難解かもしれないが，電界，磁界，マックスウェルの方程式など，電磁気学のほとんどすべての分野を網羅している．さすがMIT教授でノーベル賞をとった学者の書いた教科書．(2020/03/09)

• 振動学

  【著者】小林 繁夫

  本格的な振動学の教科書．剛体運動に向いたラグランジュ方程式のきちんとした導出，航空機や自動車車体などの薄板軽量構造物振動解析のためのシェルの振動，音響放射，フラッター，非線形振動など二冊分の内容がつまっている．また，対象のモデル化から精密な基礎方程式の導出をしているほか，参考文献もまじめにリストアップしている．学術図書の老舗である丸善は，この本の復刻に努力をして欲しい．(2020/03/09)