三崎の漁業者は他港に先んじて南方マグロ漁場を開発した。戦後いちはやく漁船の大型化を実現した。大西洋に出漁した。超低温による品質保持を考案した。荒天高緯度のミナミマグロ漁場に挑んだのも、三崎船が先鞭をつけた。三崎のマグロ漁業者は、俺たちの資本力と購買力があって、ここまで育ったのだと自負する。私は今、土地がらと、業界人の性格づけをした。あなたが手にされているこのストーリーも、こういった背景のもとに進展して行く。

第１章 マグロ三崎、今はいずこ
第２章 片目の、一徹な明治男がいた
第３章 その若い衆は、よそ者だった
第４章 冷凍マグロを見抜く動物的な勘
第５章 男が惚れた男の立ち回り
第６章 女も惚れる男の獅子奮迅
第７章 三浦三崎に黒船が現われた
第８章 相場師、丸共星が行く
第９章 旋風のごとく天下盗り狙う
第１０章 三崎を震撼させた一船買い
第１１章 新しい波に老いた獅子が立つ
第１２章 時代に挑んだ鬼気迫るけもの道
終章 巨星墜ち、風雲児は去った