平凡ながら感情が豊かな大学生の「僕」と、真逆に美少女ながら起伏が乏しく、天才的な頭脳を持つ小学生〈支倉志乃〉、生活の都合で同居同然に過ごしている二人の主人公が、行く先々で起きる怪事件に関わっていくミステリーライトノベル

本作品の魅力はまず、多くの人が慣れ親しんでいる探偵小説とは異なり、探偵役の志乃は「事件に隠された「人の裏」を暴くスタンスで、彼女らの手によって、犯人を追い詰めるような展開が主軸ではないこと」です
もちろん、犯人との直接対決もないわけではありません

そして事件の関係者となる登場人物は、主人公の友人、犯人、捜査関係者、被害者に至るまで他者にない、独特の価値観を表している部分です

凄惨な事件現場を立ち合っても、眉を潜めもせず、犯行の動機以上に、その事件が最終的に齎す「結果」を気まぐれに導き出す、「異世界」から来た黒猫かのような志乃
そんな「「異世界」の住人のような」志乃の喜怒哀楽を理解することが出来る。どこにでもいる「平凡に見えた」、なぜか周りに変人奇人ばかりが集まる事件に巻き込まれ、自分から関わってしまうことさえある〈僕〉

友人以上か恋人か、時には命をはって守る、程にお互いを意識しつつも明確な答えを挙げない不思議な二人

「人間」という存在の奥深さが溢れる物語を是非たくさんの人に読んで欲しいです

個人的に第8巻【空色の未来図】が名エピソードです。1巻から終盤に差し掛かる此方、そして最終巻まで読んでいただけると嬉しいです