帝国陸軍きっての俊才「永田鐵山」の理念を余す事無く伝える名著。

永田鉄山の事を、統制派エリート軍官僚と一言に片付け、太平洋戦争を引き起こした昭和軍閥の母体の様に一蹴する人もいるが、批判している人は、永田鉄山の著作を読んでみる良い。

御存知の通り永田少将は、皇道派による相沢事件で惜しくも落命するが、東條英機の師でもある永田鉄山が存命であれば、大東亜戦争は勃発しなかったのではなかろうか。

当書１３６頁に、こうある。「若し之が追送補給に圓滑を缺くやうなことがあれば棍棒や石礫を以て機關銃に突撃するやうな結果となり、あたら勇士を犬死させねばならぬ」この言葉は、その後の沖縄戦や竹槍訓練を予言しているではないか。

大本営の参謀共は、陸軍大学校で何を学んだのだろうと思う！飾緒は、所詮飾りだったと云う事であろうか。

昭和七年三月初版・１４５頁（定價金四十錢）
標題
目次
一　何の爲めの敎練か
二　敎練に臨むには
三　國防軍事に關する常識に就て
四　國防軍備の槪念
五　列國陸軍軍備一覽
六　國軍の統制と編制の大要
七　陸軍々隊配置一覽表
八　兵役と將校下士の補充
九　馬と兵器と要塞
一〇　陸軍の敎育と兵營生活
一一　戰爭の始めより終りまで
一二　軍の動員と國家總動員
一三　戰爭勝利の素因と牒報宣傳戰
一四　戰務の分業
一五　陣中勤務の槪要
一六　戰鬪の槪要
一七　古今の戰法と近世戰鬪の特質
一八　築城地形其測量の槪要
一九　後方勤務
二〇　列國の軍狀と我國防
附錄 幹部候補生便覽
附表 列國々費と軍費の比較一覽
同 列國新兵器整備一覽