昭和48年の発行。昭和40年代にエンタメについて書かれた記事を集めた本。著者は映画評論家だが他の芸能についても詳しく、本書でも映画だけではなく、舞台（ミュージカル、芝居）、寄席芸能（落語、浪花節）、歌舞伎、邦楽（長唄、清元）、テレビなど様々なジャンルの芸能に関するエッセイが収められている。著者は「映画を鑑賞するには、様々な隣接芸術・芸能の知識が必要」と常に説いている。

VARIETYという題名の通り、芸能だけではなく、著者の趣味である「花と潅木」についての玄人ハダシのエッセイもある。これも映画と感覚的に結びついているのだろう。

昭和40年代の芸能についての時評が多いが、日本人にこれらの知識（特に古典芸能の知識）がほとんど失われた今日、芸能批評の遺産として大きな価値を持つと思う。