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著者 | 島村 菜津 |
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出版社 | 小学館 |
ジャンル | 専門書 |
ISBNコード | 9784093792196 |
登録日 | 2011/04/25 |
リクエストNo. | 53255 |
リクエスト内容
はたしてエクソシストとは何者なのか? エクソシズムは、日本人の私が密かに思い描いてきたような、悲愴で病的な印象を与えるものではなかった。それはむしろ、驚くほど厳格な形式を持った宗教儀式だった。もし、誰かに、"悪魔憑き”というのは、やっぱり今でいう精神病なんでしょうねと聞かれたならば、いまの私は即座にちがうと答えるだろう。彼らの多くは、エクソシズムという儀式のもとでだけ別人のように変貌し、後
は何とか日常生活をこなしているからだ。ヴァティカンが公式エクソシストの活動を認知するのは、そこに、天からの聖なる力が、司祭を媒介として、地上の悪に苛まれる人間の身体と魂を癒すという信仰に基づいている。「なぜ知性を有する目に見えない外的存在が、我々に影響を及ぼしうるかもしれないということを研究する人は少ないのだろう」 一人のエクソシストがこつこつと40年間の歳月をかけて行き着いた地平は、私にはまだまだ遠かった。私は、一人のエクソシストの秘められた生涯のほんの断片を垣間見たに過ぎない。だが、その断片の輝きは、数々の癒しやミステリアスな現象にもまして、厳しい信仰と清貧を貫き、他者のために自らを消耗し尽くしたひとりの宗教者の精神力に支えられていた。
(本書 エピローグ より引用)
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読後レビュー
NEWS
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2011/04/25
『エクソシストとの対話』(島村 菜津)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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