3 票
著者 | 関口由三 |
---|---|
出版社 | 産経新聞社 |
ジャンル | 専門書 |
登録日 | 2007/11/25 |
リクエストNo. | 40413 |
リクエスト内容
下山事件とは、時の国鉄総裁・下山定則氏が昭和24年(1949年)7月5日朝から失踪し、翌日未明に死体となって発見された事件。本書『真実を追う 下山事件捜査官の記録』は、下山事件の捜査に第一線で携わった関口由三氏の貴重な手記である。
事件発生当初から自殺説と他殺説がマスコミによって唱えられ、作家の松本清張、新聞記者の矢田喜美雄などが他殺説を主張する書籍を出版し、「下山事件=他殺」というイメージが広く世に定着した。当時の緊迫した社会情勢や、警察が公式には自・他殺を明らかにしなかったことなども様々な憶測を呼ぶ原因となった。
本書の内容は、事実に基づいた記述が淡々と続き、作家や新聞記者が憶測で展開する主張とは違い、派手さには欠けるものの、事件と直接向き合った者にしか書けない迫力や真実味が行間からひしひしと感じられる。現場検証、目撃者への聞き込み等の記述からは、あたかも刑事たちの息づかいが聞こえてくるようだ。他殺説が主張するような、警察が主導して自殺で事件に幕を下ろそうとしたという陰謀めいたものはまったく感じられない。事実を大切にし、愚直なまでに真実を追い求める捜査官たちの姿があるのみである。他殺説の書籍では書かれていないか、もしくは曖昧にされている部分も本書では明瞭に書かれている。ひとつひとつ他殺の可能性を潰していき、最終的に彼らが辿り着いた結論はやはり「自殺」であった。読者がどういう結論を得るかは別として、本書を読めば、警察が他殺の隠蔽に関わったなどという説は、馬鹿げた憶測に過ぎないことが十分に理解されるであろう。
あとがきで関口氏は、「真実」とは何なのかを問うている。彼にとって真実とは「誤認や錯覚などがなく、うそ偽りのない、まこと」であった。他殺説は広く流布し、彼の所属した警視庁捜査一課に関する根拠のない悪意に満ちた憶測なども飛びかった。本書はそれに耐え忍んできた実直な捜査官による「真実を世に問う叫び」である。
投票コメント
全3件
読後レビュー
NEWS
-
2007/11/25
『真実を追う 下山事件捜査官の記録』(関口由三)の復刊リクエスト受付を開始しました。
復刊実現の投票はあなたの投票から。
復刊リクエスト投票であなたの思いを形にしましょう!
nick22