明治から昭和期まで生活必需品であったマッチ。その小さな箱には多種多様なデザインが施され、美の小宇宙を展開していた。これらのマッチは明治期には輸出品としても盛んに作られ、そのラベルは民衆的で素朴な味わいが濃かったが、大正、昭和期には広告媒体としての性格が強く打ち出されていき、より色彩豊かな美の世界を花開かせ、蒐集趣味の対象として、多くの愛好家を生んだ。本書はグラフィック・デザイナーの下島正夫氏が、約1800点のマッチラベル・コレクションを、時代順にテーマを区切り、実物大オールカラーで紹介したものであります。英文解説つき、Ａ4判ハードカバー186頁。装幀は長友啓典＋Ｋ2が担当。また、横尾忠則氏が推薦文を寄せています。1989年出版。

登録者の評価★★★★★★★★★★

【目次】

■マッチラベルにみるプレモダニズム（横尾忠則）

◇カラー図版40頁：明治期のマッチラベル
初期のもの　点火にちなむもの　たばこ・マッチ・燐票会　十二支　花と果物　鳥　風景　動物　虫　道具　日本の人物　外国の人物　マーク・文字　乗り物　天体　幻想的なもの　軍国的なもの

◇カラー図版104頁：大正～昭和期のマッチラベル
御大典　たばこ・燐票会　広告マッチの会社　トランプ・かるた　花札　日本酒　大正期のカフェ　大正期の喫茶店　ビール　飲料水　商店　薬・化粧品　食品　器具　デパート　ビヤホール　レストラン　江戸文字　日本料理店　寿司屋・蕎麦屋　中華料理店　ホテル　食堂・列車食堂　浮世絵　旅館　有名画家の作品　日本女性　舞子　公共広告　カレンダー　新聞・雑誌　交通・海運　昭和期のカフェ　昭和期の喫茶店　ダンスホール　麻雀・撞球・理髪店　川柳　有名店　外国映画　日本映画　演劇　少女歌劇　軍国的なもの　外地の店

■マッチラベル－明治・大正・昭和の燐票誌（下島正夫）

●明治時代
マッチ事始め　舶来西洋かぶれ　国産時代来る　マッチの船出　変幻自在なデザイン　タバコの専売　「燐票」謎と幻

●大正・昭和時代（20年まで）
広告マッチ事始め　今日は帝劇、明日は三越　カフェ広告花盛り　「読む」から「読みかつ見る」へ　ああ、懐かしの活動写真　広告マッチの描き手たち

■あとがき