東京、京都を始めとし、かつてはちょっとした街には市街電車が走っていた。人々の生活に深く溶け込み、町の子供達の格好の遊び相手ともなっていた。その市街電車が、経営不振、交通渋滞を理由に日本の各都市から葬り去られようとしている。それに較べ、ヨーロッパ諸国や香港では今なお健在で増々の進展を見る。私達は今、単なる郷愁の対象に終わらせてしまうことなく、新たな意識で新たな視点から市街電車を見直してみたい。

放送作家の永六輔氏と、鉄道写真家の中田安治氏が、内外の路面電車の魅力を探った好著。カラー写真も豊富で見応えがあり、資料としても価値が高い。駸々堂ユニコンカラー双書49として1977年9月出版。装幀は田中一光氏。141頁、定価は500円。

登録者の評価★★★★★★★★★★

【目次】

◇カラー版16頁：リスボン、チューリッヒ、アムステルダム、エッセン、ブリュッセルの市街電車

■安来節とチンチン電車（永六輔）

◇カラー版16頁：各国の市街電車のターミナル

■香港と二階建て電車（永六輔）

◇カラー版16頁：ハーグ、ストックホルム、バーゼル、ケルン、ハノーヴァー、オスロの市街電車

■思い出の中の都電（永六輔）

◇カラー版16頁：札幌、函館、東京、豊橋、岐阜、高岡、富山、京都、大阪、福岡、長崎、広島、岡山、熊本、鹿児島の市街電車

■日本の市街電車（中田安治）
経営不振と路線廃止　広島・長崎の場合　地下鉄の問題

■世界の市街電車（中田安治）
ヨーロッパ諸都市　近代型電車の登場　PCCカー　路下電車

■ワンマンカー（中田安治）

■結び
世界の動向　日本の技術