昔の街には風情があった。
下町の物売りの声、パリの酒場ペルノの香り、菊五郎（六代目）、アラカン、人気に集う人の列、封切館の呼声。
暮し、食べ物、旅、散歩、仕事、芝居、映画等、傑作随筆の他日記を収録。B6判、上巻は385頁、下巻は398頁。1988年出版。

登録者の評価★★★★★★★★★★

＜巻立て＞

【上巻】
私の生まれた日　父　母　家　猫　鬼の居ぬ間　私の正月　私の一日　師走の私　絵筆と共に　散歩　大川の水　町の姿　日本橋・銀座・丸の内　上野　湯島天神境内　築地・聖路加病院　浜離宮の舟入り　旅　近江の秋　京都・南座界隈　木曽路小旅行　越中・井波　奥多摩の一日　温泉で泳いだ話　横浜にて　バリ島の夜の闇　こころとこころ　回転橋のおかみさん　セーヌとパリジャン　パリから南仏ニースへ　サン・ドニの女たち　セトル・ジャンの酒場　ホテルの少年少女たち　トロワグロの料理　モンパルナスの〈クーポール）　二黒土星　時代小説の食べもの　仕出し料理　神田・連雀町　どんどん焼　小鍋だて　蕎麦　小鰭の新子と秋刀魚　江戸風味の酒の肴　当世豆腐考　チキンライス　ポテト・フライ　花見とだんご　かき氷　東京の下町　タバコを売る少女　文士と悪童　三階の「袖」の席　桂文楽のおもい出　子供のころ　立版古　縁日　酒に交われば　嗜好　巣と食　新年の二つの別れ

【下巻】
長谷川伸　私の仕事　土方歳三　大石内蔵助　福島正則と酒　永倉新八と映画　伊庭八郎　時代小説について　余裕ある時代の風俗　伏線について　気分転換　小説の中の食欲　連想　恩恵の書巻　浄瑠璃素人講釈　万年筆　紙　時間について　劇場　新国劇と私　おまんまの立回り　芝居と食べもの　新しい世界　私の桜花　新橋演舞場　夢　衣について　歳月　映画　映画を楽しんだ四十年　正月映画　無声映画のころ　人情紙風船　巴里祭と残菊物語　青春を顧みて　初夏の陽光　時代の奔流　人間の巣　家庭　映画と食卓　木靴とウエディング　矛盾の生きもの　現代の愛と家族　豊饒な時間の声　ごひいきエンターテイナー　あらゆる役柄をこなした役者　柔軟さ健在、七十七歳リーン監督　脇役　時の過ぎゆくままに　睡眼　日記