出雲の神々は征服者や加害者ではなく、覇者の面影をもたない。出雲の風土としっくり合った魂が、そのまま人格神になったと考えられる。しかも出雲の神々の住居はひとつひとつが際立った個性をそなえている。そうした個性ある神社を作り上げるために、出雲の人たちが長い間かかって積み重ねた努力、それを出雲の文化と私は呼ぶのである。

谷川健一氏が、神の出づる国、出雲地方に取材し、日本人の信仰心の原像を探る。石元泰博氏、原弘文氏による揺るぎないカメラワークも素晴らしい。平凡社カラー新書86として1978年出版。144頁、定価は550円。

登録者の評価★★★★★★★★★★

【目次】

◇カラー版8頁：八雲立つ出雲～八十氏神のふるさと

■風土と神－国引きの構図

◇カラー版16頁：青柴垣に隠れた神～事代主神

■美保神社の神事－青柴垣神事

■美保神社の祭祀組織－諸手船神事

◇カラー版16頁：光り輝く海～佐太大神

■佐太神社の神在祭－佐太大神の誕生

■島根半島の浦々－一畑寺と松尾神社

◇カラー版16頁：天の下造らしし神～大国主神

■出雲神社の勇姿－杵築平野と意宇平野

■熊野大社の鎮火祭－出雲国造神賀詞

■神魂神社と八重垣神社－神社と祭神

◇カラー版8頁：荒ぶる神～須佐之男命

■スサノオと砂鉄－目一つの鬼

■神々のやさしさ