古玩のせ界、それはあくまでも自己が中心である。自分の眼で勝負し、のめりこんで淫することをいささかも恥じることのない世界である。そこはかとなき月給取りの身がどこでどんなものを買い、どんな失敗を重ね、どんな喜びを味わったか…。私がこれまでに買い集めた古物のかずかずをお目にかけながら、しばしの間、骨董談義にふけりたい。

日本史家、奈良本辰也氏が古玩の愉しみかたを易しく説いた書。単なる入門書の枠を越えて、歴史学者ならではの識眼と、史観が活かされた優れた随筆集でもある。市島敏男氏による豊富な写真図版も魅力。平凡社カラー新書102として1979年出版。144頁、定価は550円。

登録者の評価★★★★★★★★☆☆

【目次】
◇カラー版8頁：骨董を楽しむ

■入門は陶器から

◇カラー版16頁：初心者向きの陶器いろいろ

■まず「好き」になることだ

■贋物を恐れるな

■入門書や参考書はやはり読んだ方がよい

■茶道具は避けても疵物を避けるな

◇カラー版40頁：私のコレクション

■旅に出たら道具屋を漁ろう

■コラム：道具屋からひとこと（北野二三男）

＜◇カラー頁で紹介された著者のコレクション＞
李朝染付竜文瓶・古染付小皿・民平焼黄釉小皿・初代道八作煎茶茶碗・朝鮮焼御本猪口・加賀青磁六角鉢・青花角鉢・松代焼片口・古伊万里段重・苗代川酒器・九谷台鉢・青花竜文小鉢・李朝染付蓋物・瀬戸絵皿・印判手角皿・淡路焼絵皿・李朝鉄絵平皿・古染付魚文皿・茶葉末釉瓶・御深井焼徳利・宋の壺・四耳壺・信楽大壺・新羅大壺・古越前大壺・粉彩花鳥文大壺・ペンチャロンの鉢・須恵器瓶・萩の茶碗・安南染付の壺・打出しの水注・宮崎寒雉作茶釜・鍔・元の縫紗・端渓の硯・寒山拾得図・花鳥図沈南蘋の贋物・翁面・唐俑ほか