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著者 | ポール ヴァレリー |
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出版社 | 筑摩書房 |
ジャンル | 専門書 |
ISBNコード | 9784480013057 |
登録日 | 2005/01/28 |
リクエストNo. | 27777 |
リクエスト内容
「人間に、何がなし得るか?」。人間の精神のあらゆる領域を探究し続けた至高の知性、ポール・ヴァレリー。「明晰さを求めるという急性の病に冒されて」書き上げた『テスト氏』で、自らの理想の分身テスト氏の口から「貨幣とは、社会の精神だ」という言葉を吐かせた彼は、自身の探究の方法と、マルクスの資本論との親近性を告白していたらしい。だが「文化とは余剰だ」と言うヴァレリーは、ニーチェ的貴族主義に属するだろう。「左翼の中では右、右翼の中では左」。
ヴァレリーと政治、というテーマについては、山田広昭『三点確保―ロマン主義とナショナリズム』収録の優れた分析があるが、ヴァレリアンを自認する者は、ヴァレリー自身の肉声に近づくために、この本は外せない筈。
断章形式の圧縮された表現の中に、人々の思惑の錯綜体たる社会を冷徹に観察する眼が光る。彼の言うアナーキーとは、バクーニンやクロポトキンといった人たちの無政府主義とは異質。「自ら証明の責任を果たさない全ての命令に対する拒否の態度」、これが彼のアナーキズム。ニーチェのように自ら階序を打ち立て、人々を支配しようという能動性は希薄だが、世俗の仕事としての政治へのシニカルな眼差しは同じ。自身の政治的志向(嗜好?)がどうあれ、この徹底した冷徹さに一度、触れておく価値はある。
筑摩書房の“ヴァレリー全集”にも収録されておらず、この‘ヴァレリーの政治論’という魅力的な組み合わせを堪能する為には、復刊しかありません。乞う、投票。
投票コメント
全11件
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「左翼の中では右、右翼の中では左」GOOD!1
推薦文にあるこのフレーズに引き込まれました。
政治を語る時にかくありたいと思うこの言葉、ヴァレリーが政治についてどの
ように語ったか、興味があり、未読ですが投票します。 (2006/04/10) -
透徹な言葉に貫かれた断章です。GOOD!1
文字数が少ない分、それだけヴァレリーの言葉を深くかみしめて味わうことができます。
図書館で借りて何度か読みましたがどうしても手元に置いておきたい一冊です。
「全集」にも含まれていません。是非復刊を。 (2005/02/20) -
翻訳も良さそうな気が (2007/11/19)GOOD!0
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常に身に寄せたい一冊。是非文庫化希望。 (2006/04/12)GOOD!0
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ヴァレリーの書いたものに古くなって読めないなんてものは一つもない. (2006/01/14)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2005/01/28
『純粋および応用アナーキー原理』(ポール ヴァレリー)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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悠々