陶磁器の産地、愛知県常滑に育ち、京都に遊学、志賀直哉、和辻哲郎の影響下に日本美を追求し、戦争の破壊からこの国を救うべくついに世界連邦構想に到達した哲学者―谷川徹三。
明治、大正、昭和、平成の四代を生きた美と人生の思索者が、生い立ち、師承と交友、読書体験や旅などを回想し、精神遍歴の遙かな軌跡を振り返る、著者生前最期の著作。（書評より転載）
1989年出版、初版は箱付き。
オーナー評価★★★★★★★☆☆☆

【目次】
１.私の履歴書－日本経済新聞1967年12月連載

２.敗戦前後－読売新聞1979年1月連載
外相官邸で三年会　富塚日記にみるメモ　三年会から同心会へ　同心会と雑誌「世界」　帝室博物館入り　海軍の思想懇談会幹事に　聖断を知る　天皇陛下に奉る書　アナトール・フランスの日露戦争観　眼をみはる中国の自然と文物　上海で危機一髪の目に　東奔西走の講演旅行　人間の回復　日本再建-対立を超えて　中国知識人の動向（昭和十五年、東亜研究所における講演）

３.東洋と西洋という観点からの現代日本の課題
いくつもの世界　東洋と西洋と日本　二つの世界と新しい一つの世界　日本の役割

４.ベートーヴェン体験
人間の歌　祈りの歌　やさしい歌　よろこびの歌　ほめ歌

５.トインビーから私の学んだこと
トインビーの文明　文化の魂　シュペングラーとの違い　歴史における予言　西欧と非西欧の歴史的関連　挑戦と応戦　異文明との出会い　応戦における選択の自由　世界政府に関する見解

６.トインビーとラッセルの中国観
トインビーへの手紙　私の質問-二つの世界国家の違い　トインビーの答えは「図説・歴史の研究」に　未来の世界国家の特色　過去の世界国家との違い　中国が将来の世界政府の中核　西欧は分裂的、中国は安定的　中国は工業化し過ぎない中道　トインビーとラッセルは中国感で一致　若い中国の胎動　私の中国での見学

７.三度目のギリシャ-1969年のギリシャ紀行