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著者 | ピーター・ディキンスン |
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出版社 | サンリオ |
ジャンル | 文芸書 |
ISBNコード | 9784480430373 |
登録日 | 2002/08/23 |
リクエストNo. | 11756 |
リクエスト内容
英国探偵作家クラブ賞(CWA賞)ゴールド・ダガー賞を2年連続で受賞し、SF小説、ファンタジー、児童文学と幅広い作品を手がけ、英国本国では、いずれも高い評価を受けているディキンスンのSF作品。
医薬品会社の実験薬理学者デビッドは、カリブ海のホッグ島にある小さな研究所に派遣されることになった。気は進まないが、休養もかねて気軽に引き受けたのだった。そこは、もとイギリスの植民地で、今はトロッターと呼ばれる王朝の支配する観光地だった。冷酷な弾圧をする秘密警察、地下に潜行する反乱者、賄賂で動く役人、闇取引の横行するマーケット、サンデー小人やブリジッド女王といった精霊信仰のはびこる呪術と魔法と狂気と独裁の島――デビッドは、そこの実験室でSG19という物質をつかってネズミのストレスを鎮静させ、徳性を高めるテストをくりかえしていた。ところがある日、実験室の掃除婦が顔を黄色と紫色のまだらにして死んでいた。魔術を使った殺人の容疑でデビッドは逮捕された。罠だった。SG19を人体実験に適用するようデビッドは、トロッターに強制されるのだが……絢爛艶美な地獄めぐりを思わせるディキンスンの衝撃作。
投票コメント
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読後レビュー
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分類不能なジャンルミックス小説
いやはやなんとも分類不能なジャンルミックス小説。題名は「会社の言うがまま仕事に没頭する主人公のうつろさ」を恋人が評した言葉。つまり核には純文学的なテーマがあるように見えるのだが、それと裏腹にストーリーは幻想サスペンス、ないしミステリと冒険小説の混合物に仕上がっている。研究所の掃除婦の死という謎への解決は最後にあるからミステリの形式を守ってはいるのだが、正直おまけ程度の扱いで、丸ごと削除しても問題ないぐらい影が薄い。むしろ、特異な独裁体制下の島国での魔術の蔓延と、その中で繰り広げられる過酷な人体実験とそこからの脱出スペクタクル、が話の肝に見える。一切の感情移入を拒否する醒めて乾いた理知的な文体でのリアルな描写の緊張感。ジャンル文法を殆ど無視した展開で、先が全く読めず、そもそもミステリなのか冒険小説なのか不条理幻想小説なのかすら判別困難。「キングとジョーカー」もそうだったけど、ジャンルの鋳型を求めるタイプの読者を排除するとっつきの悪さが、良くも悪くもこの作者の特徴かも知れない。 (2013/11/21)
タイトル | 価格 | サイト |
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生ける屍 | 1,100円 | アマゾン |
NEWS
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2013/06/11
『生ける屍』販売開始しました! -
2002/08/23
『生ける屍』(ピーター・ディキンスン)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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ひろ