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果てなき旅(上・下)

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谷中村・水俣病・そして福島

企業と政府が結束して国家プロジェクトを推進する際、庶民生活は無視される。
そうした巨大プロジェクトによる本格的公害に徒手空拳で正面から戦い続けた田中正造の生涯、いまこそ深く学ぶべきだろう。
「坂の上の雲」の明治はひたすら明るかった、という刷り込み、本書を読むと吹き飛ぶだろう。
「山の下の村」は、大企業と政府の暴政で、壊滅させられた。そこが、今ラムサール条約の対象として慶賀されている。
テレビの大河ドラマ、田中正造伝を一年かけて放送するようになれば、世の中は変わるだろう。いや、より正確に言えば、世の中が変わらない限り、本当の庶民の英雄、田中正造伝が脚光を浴びることはありえまい。
児童書と銘打って描かれてはいても、十分、成人の読書に耐える名著、今こそ復刊して欲しいものだ。

2012/09/13