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CHIHIRO’S CHILDREN Happy Time ちひろの子どもたち ハッピータイム

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ファンの方にお勧めします

私は子供のころ、いわさき・ちひろ氏の絵が大好きでした。ふわっとした感じの優しい絵で、彼女が好きなマリー・ローランサンとその点では共通する絵柄です。ただし、いわさき氏は子供の絵が中心です。子供たちの優しいしぐさを見て、子供時代の楽しかった記憶を呼び戻すにはうってつけの本だと思います。また、彼女の画家としての心情を記した文章が幾つもあり、彼女がどういう気持ちで子供たちを描いていたのかを理解する手掛かりにもなると思います。

一方、職業画家としての、いわさき・ちひろ氏の側面を見る事も出来ます。ある程度絵を描く経験のある方なら、彼女の「作品」が2つのパターンに収まっていることが分かると思います。一つは鉛筆をつかった線描(に淡い色を付けたもの)、もう一つは透明水彩だけで若干濃い色を使って描いたものです。これは市場の要求(いったん受けると分かった商品を踏襲しようとする傾向)を反映したものであると同時に、彼女自身がその要求を断り切れなかった、あるいは、それ以上の発展を求めていなかったことを意味しています。

女性が職に就くことが難しかった時代ではどうしようもないことではあります。ただ、もし、いわさき・ちひろ氏が彼女自身の能力の発展を願っていたなら、勇気をもって自分の道に踏み出して欲しかったとも思います。

最後に一点。この本の英題は"CHIHIRO'S CHILDREN HAPPY TIME"となっているのですが、少し不思議な訳かなと思いました("Children's Happy Times by Chihiro Iwasaki"が自然かもしれません)。

2024/12/14