レビュー一覧

【バーゲンブック】『はだしのゲン』を読む

全1件

転々としながら動かない。

子供のころ、たまたま雑誌で『はだしのゲン』を読んでいたが、”いつの間にかなくなって”いた。その後、他の雑誌に掲載されていると知ったのだが、そのあたりの事情は幼い私にはわからなかった。

ただ、これが何か特別な漫画であることはわかった。”怖い”シーンも、例えばそのころはやった恐怖漫画とは違う。昭和一桁の両親から遠く離れた広島というところに落ちたピカドンの話は聞いていて、それがこのことだったのだ。

のちに広島に縁ができ「『はだしのゲン』?広島じゃ、小学校で教科書代わりに使われていたよ」と聞き、びっくり。(当然のことだと今はわかるが)広島では「いつの間にかなくなっていた」連載漫画ではなかった。急にいくつものシーンが肌に迫ってきた。

さて、この本だが『はだしのゲン』がどう特別かがわかる。”色”がつかざるを得ないテーマを扱った漫画を、多彩な著者が様々な観点から分析している。戦争の話を子供のころから直接体験者に聞いて育った最後の世代の一人として、ただの連載漫画として(ある意味色をつけずに)読み進めていた子が大人になって、原爆から遠い地域に育ったが広島に頻繁に通うようになった一人として、改めてこの漫画の意味を再考する手掛かりにしたい。

2021/07/04