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エピクテトス 人生談義 上

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耐えよ、控えよ

宗教家の清沢満之氏の著作で紹介されており興味を持ちました。
エピクテトスは後期ストア派の代表格であり、ストア派がストイック(禁欲的)の語源にもなったということで「徹底的に自分を痛めつける哲学」といったイメージを持っていました。しかしそれはいい意味で裏切られます。
エピクテトスは「自然本性に従って生きよ」と説いています。これは自分の力がおよぶ範囲で精一杯生きれれば後悔することはないと考えていいでしょう。そして人知を超えた部分には必要以上に求めない。訳文の影響もあるのか、ストイックというよりはノビノビと生きているように思えました。彼は弟子たちに「耐えよ」・「控えよ」と教えたそうですが、エピクテトス哲学の要約といっていいでしょう。
さて本書の中で度々、デルポイ神殿に掲げられていたという「汝自身を知れ」という標語が引用されます。自分を知っていれば困難にも「耐えられる」し適量で「控える」こともできる。現代は物質社会で情報社会です。物量に飲み込まれないためにもエピクテトス哲学を学ぶべきなのかもしれません。

2022/01/09