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フィレンツェ史 上

全1件

血塗られた都市

華やかなイメージとは裏腹に有史よりフィレンツェは貴族と市民、党派同士と血生臭いが繰り広げられて来ました。
マキアヴェリがこういった母国の混乱を眺める中で『君主論』や『ディスコルシ』で強力なリーダーを描き待望したのも当然でしょう。2作の最良の副読本といっても過言ではありません。
また著者の意図に反するかもしれませんが、マキアヴェリによる筆はフィレンツェの闘争を鮮やかに描き読み物としても読者を引きつけます。解説によれば『君主論』と同様に『フィレンツェ史』も重版を重ねたそうで、それだけ読者に評価されたといえます。
最後に本作はちくま学芸文庫版の他に岩波文庫版が存在します。眺めた程度ですが、読みやすさという意味では原典にない改行を行ったちくま版が有利だと思います。ぜひマキアヴェリの美筆をご堪能ください。

2023/04/06