| 著者 | 寺田ヒロオ |
|---|---|
| 出版社 | マンガショップ |
| 判型 | B6判並製 |
| ジャンル | コミック・漫画 |
| ISBNコード | 9784775913116 |
「ぼくは寺田ヒロオの正しい漫画が、大好きだったのだ。」
いしかわじゅん
作品解説「正しい人」
いしかわじゅん
寺田ヒロオの作品は、ずっと読んでいた。
あの柔らかく温かい描線。親しみやすいキャラクターの造形。
アップも大ゴマもあまり使わず、オーソドックスに展開させていく、
派手さはないがよくわかる物語。それは、正しい人の描く正<しい漫画だ。
ぼくは寺田ヒロオの正しい漫画が、大好きだったのだ。
リアルタイムで読んでいたころには、寺田ヒロオが『まんが道』で
テラさんと呼ばれて若い漫画家のリーダー的存在になっていたこと
があるなんて知らなかった。でも知ってみれば、
まさにそんな人柄なんだろうなと思わせる作風だ。
この『暗闇五段』も、ぼくは少年サンデーの連載をリアルタイムで読んでいた。
この連載時点で、『暗闇五段』は絵柄や展開がオーソドックスすぎて、
既にやや古臭くはあったのだが、それでもぼくは大好きだった。
寺田ヒロオの漫画には、リアルで等身大な人間がいた。
大袈裟に騒ぎ立てて物語を作らず、リアルな人間のリアルな会話で組み立てていた。
テラさんの描く物語には、悪人がいなかった。『暗闇五段』で最大の悪役、
主人公の倉見を殺そうとまでした熊手も、最後には改心してしまう。
そして倉見も、その改心をあっさりと受け容れてしまう。
その代わりに、深い人間関係があった。弟子は師を思い、師は弟子を思う。
師の娘の鬼ヒメは倉見を堂々と愛し、黒ひげは行方不明になった倉見を
親身になって探し、倒れていた倉見を見つけた可憐なマツゲちゃんは、切なく倉見を慕う。
たぶん、時代遅れになりつつあったんだと思う。
もっと悪人は悪人らしく、派手な道具.立てで物語を進行させなければ、
週刊誌で人気は得られない時代になりつつあったのだ。
柔道をやるんなら、必殺技がいる。でもテラさんには、正確な柔道技はあっても、
鬼面人を驚かす必殺技を作る必要性はなかったのだ。
それが、寺田ヒロオという漫画家なのだ。
この作品はこんなに面白いのに、残念ながらあまり人気は高くなかったらしい。
この後、寺田ヒロオは少年誌の第一線から徐々に退いていくことになる。
寺田ヒロオは、自分の漫画を貫くことの難しさに悩み、鬱屈の度を高めていった。
あの明るいリーダーのテラさんの内面もまた、この時期は暗闇だったのかもしれない。
初出
「週刊少年サンデー」(小学館)
1963年46号~1964年21号
いしかわじゅん
作品解説「正しい人」
いしかわじゅん
寺田ヒロオの作品は、ずっと読んでいた。
あの柔らかく温かい描線。親しみやすいキャラクターの造形。
アップも大ゴマもあまり使わず、オーソドックスに展開させていく、
派手さはないがよくわかる物語。それは、正しい人の描く正<しい漫画だ。
ぼくは寺田ヒロオの正しい漫画が、大好きだったのだ。
リアルタイムで読んでいたころには、寺田ヒロオが『まんが道』で
テラさんと呼ばれて若い漫画家のリーダー的存在になっていたこと
があるなんて知らなかった。でも知ってみれば、
まさにそんな人柄なんだろうなと思わせる作風だ。
この『暗闇五段』も、ぼくは少年サンデーの連載をリアルタイムで読んでいた。
この連載時点で、『暗闇五段』は絵柄や展開がオーソドックスすぎて、
既にやや古臭くはあったのだが、それでもぼくは大好きだった。
寺田ヒロオの漫画には、リアルで等身大な人間がいた。
大袈裟に騒ぎ立てて物語を作らず、リアルな人間のリアルな会話で組み立てていた。
テラさんの描く物語には、悪人がいなかった。『暗闇五段』で最大の悪役、
主人公の倉見を殺そうとまでした熊手も、最後には改心してしまう。
そして倉見も、その改心をあっさりと受け容れてしまう。
その代わりに、深い人間関係があった。弟子は師を思い、師は弟子を思う。
師の娘の鬼ヒメは倉見を堂々と愛し、黒ひげは行方不明になった倉見を
親身になって探し、倒れていた倉見を見つけた可憐なマツゲちゃんは、切なく倉見を慕う。
たぶん、時代遅れになりつつあったんだと思う。
もっと悪人は悪人らしく、派手な道具.立てで物語を進行させなければ、
週刊誌で人気は得られない時代になりつつあったのだ。
柔道をやるんなら、必殺技がいる。でもテラさんには、正確な柔道技はあっても、
鬼面人を驚かす必殺技を作る必要性はなかったのだ。
それが、寺田ヒロオという漫画家なのだ。
この作品はこんなに面白いのに、残念ながらあまり人気は高くなかったらしい。
この後、寺田ヒロオは少年誌の第一線から徐々に退いていくことになる。
寺田ヒロオは、自分の漫画を貫くことの難しさに悩み、鬱屈の度を高めていった。
あの明るいリーダーのテラさんの内面もまた、この時期は暗闇だったのかもしれない。
初出
「週刊少年サンデー」(小学館)
1963年46号~1964年21号
読後レビュー (全1件)
いい漫画だ
連載時に読んでいたときはまだ子供だったこともあって、なかなか話が動かない前半が少々かったるく思え、主人公が失明してからの展開にわくわくしたものだが、改めて完全版で読み直すと、当時かったるく思えた前半が素晴らしかった。最初からこんなに面白い漫画だったのだ。
2016/08/24
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復刊投票時のコメント (全44件)
2009/02/02
2009/02/02
2006/06/07
2006/06/07
2005/05/07
2005/05/07
2005/05/06
2005/05/06
2004/10/30
2004/10/30