本書の主人公は数秘術の世界的権威、円周率の百万桁目をコンピュータ以前に予測した謎の人物である。不可思議な数の世界の魅力に満ちた一冊。

ドラッカーを徹底的に読み込み、組織と人間の問題を飽くなく追及した著者の現代批判と人間探求を規範・現状分析・政策のなかで展開した野心作。

17世紀社会契約説の3人の代表者ホッブス、スピノザ、ロックの宗教論を、それぞれの政治哲学との内的関連のもとに解明した著者の第一作。

近代経済学の理論的な枠組みを誕生にさかのぼって再検討、新古典派理論の自己批判を通してケインズ経済学の発展をめざした意欲的な経済学説史。

19世紀パリっ子で賑わう一角に出現した恐怖劇のメッカ、グラン＝ギニョル座は、世紀末の頽廃や大衆文化の源流と20世紀初頭の前衛劇の清新な形式が先取られていた。

福沢諭吉ら近代初期の思想家による西欧語受容過程を検討し、「意味以前のことば」として流通する翻訳語の特異性を理論化しつつ日本人にとって翻訳とは何かを問う。

美しい音楽と荒唐無稽な筋立てが同居する傑作オペラの、音楽と台本全体にわたるフリーメイスン秘密結社の伝承を浮彫にしながら、その真の全貌を提示する。

「父」「令嬢ジュリー」「ダマスカスへ第I部」「罪また罪」「死の舞踏第I・II部」「幽霊ソナタ」収録。絶えず変貌する魂の遍歴を刻みつけた6編。

武士の登場とともに芸術はどのように展開したか。「信貴山縁起絵巻」全巻を図版として掲載し、この絵巻の持つ中世的意義を説き明かす。

ギンズバーグ『吠える』の訳でも知られる著者が、1950年代半ばのアメリカに「詩をたずさえて登場した」ムーブメントを、65年にいち早く紹介した、基本の書。

天明三年生地三河を発ち、秋田の地に没するまでの46年間に厖大な日記・随筆・記録・スケッチを残した謎の大旅行家・菅江真澄の足跡をさぐり、菅江真澄の全貌を明かした待望の書。

三つの文明が交差し展開する数千年を、現在と過去の自在な往還によって語る新史学テーマ別論集。

イギリスの郵便前史を多彩なエピソードをまじえて概観し、郵便と切手の歩みを技術と人間のドラマとして描く。世界初の切手発行をめぐるコミュニケーション小史。

西ドイツ山村での実地の調査・生活体験にもとづき、農村そして一般庶民の暮らしと文化をいきいきと伝える。

南米のジャングルに純粋アーリア人の国を建設し、兄ニーチェの著作を改竄してナチのバックボーンを打ち立てた女性の驚くべき生涯に迫る伝記。

激動期に生きた2人の生涯の軌跡と、彼らの理論と理想を追究することを通して、民衆運動と革命的独裁がもたらしたフランス革命の意味を再検討する。

幕末における立憲政治論から国会開設運動を経て、さまざまな憲法構想をとり込んでいった明治立憲制の成立過程とその構造的特質を解明する。

各地に古来より伝わる葬送儀礼・墓制の歴史的変遷と、その意味するところを詳述。そこから浮かび上がる、日本人の死生観、他界観、民俗的心性とは。

古代の公文書を駆使した緻密な実証的研究によって古代官僚制の実相に迫る。古代の国家と天皇を論じる際に不可欠の書。

実証主義への埋没、発展史観への硬直を回避する、歴史学の科学としての認識をさぐった2論文。