地球が緑色の大流星群の中を通過し、翌朝、流星を見た者は一人残らず視力を失ってしまう。狂乱と混沌が全世界を覆った。今や流星を見なかったわずかな人々だけが文明の担い手だった。しかも折も折、植物油採取のために...

常夏の南カリフォルニア、ロサンジェルス郊外、太平洋の青い波に洗われるマリブ海浜に、背中から心臓を射ちぬかれた若い女の死体が発見された。続いて二年後に、二つの殺人事件が発生する。暗黒街の人物が錯綜するこの...

短編を書かせては随一の名手の代表的短編集。奇抜な着想、軽妙なプロット、論より証拠、まず読んでいただきましょう。どこからでも結構。ただし最後の作品「うしろを見るな」だけは、最後にお読みください。というのは...

ヒロイック・ファンタジーの源流となった傑作シリーズの第５集は、待望の完全新訳集。これまでの創元版でも未収録だった、表題作ほか「黒い異邦人」「不死鳥の剣」など中編３編を収録。草稿などの資料編も充実。

本格推理小説草創期の旗手にして、イギリスきっての知性が語る、不朽の文明論。人間と社会の心理を洞察。著者は推理小説シリーズ「ブラウン神父」で知られます。また、傑作長編「木曜日の男」（創元推理文庫の訳名。光...

クウェイトへの密出国をはかる３人のパレスチナ難民。空のタンクに３人を隠した給水車は炎熱の砂漠を突っ走る——悲惨な死を通して、国家とは何か､民族とは何かを問う「太陽の男たち」他。巻末論文＝大江健三郎

故郷プラハを追われて新大陸アメリカを彷徨する17歳の青年の孤独と遍歴の物語と、未来を予見する力を持つ王女カッサンドラの視点から、トロイア戦争を読み替えた女性作家の代表作。

1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態...

イギリスEBC放送の職員マイク・ワトソンは妻フィリスとの新婚旅行の最中、アフリカ北西の大西洋上で、海に落下する数個の赤い火の玉を目撃する。同様の火球の目撃談が世界各地で相次ぎ、それと呼応するように、海で...

第2次大戦中，物語の語り手ライダーはブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する．「ここは前に来たことがある」．この侯爵邸の次男でライダーの大学時代の友セバスチアンをめぐる，華麗で，しかし精神的苦悩に...

灯台を望む島の別荘を舞台に、哲学者一家とその客人たちの内面のドラマをリリカルに描いたモダニズム文学代表作の新訳決定版と、植民地出身の作家が、帝国の辺境に生きる人間の生の葛藤を描いた、もう一つの『ジェイン...

第2次大戦中、物語の語り手ライダーはブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する。「ここは前に来たことがある」。この侯爵邸の次男でライダーの大学時代の友セバスチアンをめぐる、華麗で、しかし精神的苦悩に...