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竹鶴天さんのページ

レビュー

  • 小松左京の大震災’95

    小松左京

    科学の眼で、震災をレポート

    1995年1月17日、享年63歳のSF作家・小松左京氏は大阪府箕面市の自宅で震災に襲われた。
    幸いその地区ではライフラインの途絶もなく、三千冊の蔵書が投げ出されたなどの被害ですんだという。
    小松氏は直後から、すべての当事者たちに、各人の目でこの震災の記録を書き記しておくよう勧める。
    そして自身も、4月から毎日新聞で連載する予定だった宇宙コラムの枠を震災のレポートに変更して、そのための取材と整理に奔走する一年を過ごした。
    22年前に『日本沈没』を上梓して、地震については一廉の知識を持っていた筆者であったが、さらに新しい知識を蓄えて今度の活断層直下型地震を精力的に解析する。
    また、震度や被害者数などの報道に時間がかかりかつ非常に不正確であったこと、自衛隊への要請や復興計画がスムーズに運ばなかったこと、地震の数秒前からの映像が記録されている(当時は衝撃だったらしい)SBRシステム、ビルの中程がぐしゃっと潰れる「中途階の挫屈」現象、等々、小松氏ならではの着眼点で進められる考察のひとつひとつが興味深い。
    冷静な眼で震災と向き合い、なおもはるか未来を見据え続ける巨匠の言葉は、今もなお躍動感に溢れている。(2012/02/15)

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