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• 八本脚の蝶

  【著者】二階堂奥歯

  元々が奥歯女史の往年のファンでして、私は２００３年の四月に社会人になりました。奥歯女史が永遠の物語となる二日前の日記を見て、私も頑張らねばと気合いを入れましたが、その二日後に私の崇敬は遠い御仏となりました。私は凡人であり、奥歯女史と比べるべくもありません。が、死ぬ気で働いていつの間にか生きるためではなく、死に向かう為の仕事をしている自分がいて、もはや崇拝の対象とまでなった奥歯女史すらがその道を選んだのであれば、地べたで草の根を歯み泥水を啜ってまで生きる自分の価値に途轍もない疑問を抱くのです。実は本書は購入済なのですが、なぜ最低でも後二冊、購入しておかなかったのかが悔やまれます。主治医にドクターストップをかけられるまで働き通した私は、逆にそれによって一般社会生活を送ることが出来ぬ体になってしまいました。永遠の苦しみを享受するか、それを断ち切る二秒の恐怖を甘受するか。未だに答えが出せません。よってこの書は私のバイブルです。どうか復刊を。(2009/07/11)