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• 信玄の妻　円光院三条夫人

  【著者】上野晴朗

  三条夫人が嫉妬深くて高慢な女性であるというのは、完全に
  フィクションの中での人物像です。フィクションに限らず、著者の適当な
  憶測に基づいて、彼女を悪女と決め付けて書いた書籍が後を絶ちません。
  三条夫人について、公平に史料に基づいて書かれた本は、これくらいでしょう。きちんと史実を追いかけてみれば、彼女は信心深く、優しく、夫や
  武田家の為に尽くした様子が偲ばれる女性でした。彼女の人物像を知る上でも重要な、三条夫人に関しての、快川和尚達、彼女の葬儀に参列した諸僧侶達の美しく、感動的な言葉が全文紹介されているのは、この本だけです。現在、大河ドラマ「風林火山」の影響で、この著者の同出版社での「山本勘助」の方は復刊されているのに、なぜこっちの方は復刊されないのでしょう?　せっかく、やっと今回の大河ドラマの中で、三条夫人の人物像が良く描かれるようになったというのに。今回の「風林火山」で、三条夫人に興味を持つようになった人達もいると思います。彼女の事をもっと知りたいと思っている人達もいると思います。今こそ、復刊されるべき本だと思うのですが。(2007/10/27)