復刊リクエスト投票

• あした地球がおわる

  【著者】後藤みわこ/作、せきねゆら/絵

  大人になり始めている思春期の子供たちが、突然訪れた圧倒的な絶望のなかでそれでも現実を受け入れ前を向いて歩いていくお話です。
  
  自分が本書に出会ったのは大人と言われる年齢になってからでした。ジャンルとしては児童向けSF作品になるのだと思いますが、東日本大震災という非現実的な出来事を経験してから出会ったため、本書の設定が非常に生々しく感じられ強く感銘を受けました。図書館で読了後すぐに書店で購入し、現在も手元の蔵書を大切にしています。
  
  このたび本書を親戚の子供にも贈ろうと探したところ絶版になっていることを知り、こちらでリクエストをするに至ります。
  いまこの時代に日本が抱える自然災害リスクや軍事リスクを考えるほど、本書が復刊し多くの若い世代やその養育者たちに読まれることを願わずにはいられません。
  
  児童書でありながら子供に媚びないシビアな設定、良い意味で淡々とした語り口、物語としての完成度の高さから、感性豊かな子供たちのみならず大人にも薦めたい作品です。(2022/12/26)

• スターライト・キッズ

  【著者】蜂屋誠一

  他の多くの投票者と同じく自分も小学生の頃にこの作品を読みました。同じ作者の作品で衝撃的な結末が印象深い「ジャパニーズ・ドリーム」とともに、30年ほど経った現在でもいまだ忘れえぬ作品で、中古市場で出会うたびに1作ずつ買い集める日々です。
  蜂屋氏の作品は、いずれも氏が十代半ばから二十代前半にかけての非常に若い時期に執筆されたものであるためか、児童向けの内容でありながらも言い含めるような説教臭さ、押しつけがましさが微塵もなく、共に冒険する仲間のような目線で読者を物語に誘う作者と読者の一体感が秀逸です。古今東西、このような児童書は非常に稀ではないでしょうか。
  復刊によって、現代の子供たちにも是非この優れた作品に触れる機会を持ってほしいと思います。(2020/09/06)

• 蒼穹のローレライ

  【著者】尾上与一

  毎年終戦の季節になると手元の蔵書を読み返しています。尾上先生の1945シリーズは、豊かな知識と想像力と圧倒的な熱量で、戦争の時代を生き抜いた若者たちの青春を色鮮やかに描き出しています。本作のような優れたフィクションは、テレビ番組の戦争特集のようなジャーナリズムの視点とはまた違った視点で、戦争に翻弄されながらも全力で時代を駆け抜けた若者たちの姿を世に伝える媒体であると感じます。
  ジャンルの枠に囚われず、一般書として復刊され多くの人の手元に届くことを望みます。(2020/09/06)