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• フィメールの逸話

  【著者】鈴木雅子

  ５０を越えたおじさんです。私の１０代には少女マンガを読むのはたいへん恥ずかしいことでした。
  暇潰しに読んだ本作品との出会いが少女マンガの世界に足を踏み入れるキッカケになりました。
  男性として生きていくことを儚み一旦は死を決意した彼が、女性の身体を得たことで新たな人生を歩き始めようとする彼が、事故で記憶を失った時に現れる性別は男性であるのか女性であるのか。
  当時は問題視されることさえ無かった〈性同一性障害〉がテーマとも云える。また、〈仮面はいつしか顔になる。〉と云う命題をも含有しているようにも考える。恥ずかしがって人前に出ることができなくては何も変えることができない。仮面を被っているがごとく演出することが出来れば自身の新たな魅力を引き出すことも可能である。また、その仮面を通しての姿を見ている周囲の人々からはその仮面こそがその人の顔であると認識されているはずである。仮面を演じきることによっていつしか顔と同化するとは心の問題で、自信をつけることによって人は変われるものであることを学んだ。
  これまで転勤や引越のため５度購入し、５度紛失してしまいました。復刊を希望します。(2016/09/03)