復刊リクエスト投票

• 新講世界史

  【著者】土井・片山・吉村

  学徒に向けて書かれた初めての「世界史としての世界史」の参考書。その為に、世界史の構成についての考察を序章に据え、所謂「大航海時代」からはじめて「資本」により暴力的に地球全体が統合される「帝国主義時代」迄を中核とし、それ以前を各地域史、「第二次世界大戦」以降を現代史として、三部作として構成した、少数気鋭の歴史学者達による快作である。ベルリンの壁が崩壊し旧ソ連解体後の世界に向けての増補改訂版が望まれる所以である。(2021/01/06)

• 入試数学と現代数学のあいだ

  【著者】吉田紀雄

  出版当時此の本に附けられたセールストークは「此れ一冊で如何なる大学入試(数学に限る)にも対応できる」だったかと記憶しているが、1970年代の数学教育界におけるブルバキズムの全盛を反映して、当時の高校数学の全般を通じて統合的に貫通する数学的構造を「線型空間構造」と看破し、集合から最終章「線型空間」を展開するなかで、問題演習については大学入試数学問題と、其の不足を洋書中の演習問題で補いつつ、構造主義的に鋭く斬って斬って伐りまり、総じて、当時の若い読者達に、数学の遥かな展望と醍醐味を伝えてくれた。。此のような熱の籠った類書のない昨今、此の書の復刊の意義は小さくは無いなのではなかろうか！(尚、付録の中の小伝によって私は、ソニア・コヴァレフスカャという偉大なる女性数学者の存在を初めて知った。)(2017/05/21)