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レビュー

復刊リクエスト 文芸書
早川書房編集部
世界ミステリ全集全18巻

大学のころ、新刊書店で、少し古ぼけた感のあるこの全集を1冊1冊買いそろえました。今思うと、独特のセンスのチョイスで、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、当時のミステリの風潮を少し先取りした(ということは、当たり外れのある)内容だと思います。
解説でどうしてこの作品が選ばれたのかを編者が述べています。
たとえば、クリスティーなら、まずだれが選んでも名作として「そして誰もいなくなった」、新世代の傑作として「愛国殺人」さらに新作として「フランクフルトへの乗客」という選択だ、ということです。
もちろん、チャンドラーの巻のように、明らかに版権の問題がある場合もあり、そのまま信じることはできませんが、創元推理文庫とハヤカワミステリといえば、当時の海外ミステリ界を二分するメジャーだったわけで、その一方がこうした形の「全集」を出したことは、驚きでした。
いわゆるオーソドックスな「名作」がほとんど含まれていないことには自分としても物足りないものを感じます。
そうした名作のためには、別の出版社から出された(73年、講談社)などの全集を買わなくてはならず、(あるいは文庫でそろえる)その点では、「なんだろう」という感じはありました。
それでも、この全集を買って後悔したことは一度もありません。確かにどなたかがブログで指摘されていたように、アンブラーなら、「あるスパイへの墓標銘」とかクイーンなら「Y]とか入ってほしいものはあるのですが、そうした作品は、書店で簡単に入手することができるので、むしろ手に入れにくいこうした作品のほうがありがたいと感じたのかもしれません。

2012/03/11