戦国大名毛利元就の三男に生まれ、安芸小早川氏の家督を継承した隆景。
次兄吉川元春と共に長兄毛利隆元を支える「毛利両川体制」の一翼を担い領国拡大に尽力し、豊臣政権の大老となり朝鮮出兵を経て、養子秀秋に家督を譲るまでの一生を、肉親自筆の手紙など一次史料から描き出す。幅広い人脈やゆかりの社寺にも触れ、人間「隆景」の実像に迫る。

▼目次
序 安芸小早川一族の歴史
--はじめに
--1 鎌倉時代
--2 南北朝時代　
--3 室町時代　
--4 戦国時代
I 小早川隆景の生涯
--一 隆景の誕生と小早川家の相続 -天文二年～二十年-
　--隆景の誕生
　--郡山城合戦
　--竹原小早川家の相続
　--沼田小早川家の相続
　--神辺城攻撃と山口訪問
　--天文十九年の歴史的意義
　--乃美隆興と両小早川家の統一
--二 毛利両川体制と隆景 -天文二十年～元亀二年-
　--「兄弟契約」
　--毛利輝元の誕生
　--「防芸引分」と厳島合戦
　--毛利氏の防長侵攻
　--小早川氏と鉄炮
　--三子教訓状
　--門司城をめぐる攻防
　--元就・隆元の雄高山訪問
　--福屋氏の滅亡
　--毛利隆元の死
　--出雲・伯耆方面への進出
　--出雲尼子氏の降服
　--伊予出兵
　--筑前立花城攻防戦（1）
　--筑前立花城攻防戦（2）
　--信長との交流
　--尼子勝久の挙兵
　--大内輝弘の山口侵入
　--輝元・隆景の出雲出陣
　--輝元と隆景の帰国
　--元就の死
--三 毛利領国の拡大と隆景 -元亀二年～天正十年-
　--掟条々と「御四人」
　--義昭と信長の関係悪化
　--隆景の備中進出と三村氏
　--隆景の因　幡・伯耆進出
　--足利義昭の鞆入りと木津川口の合戦
　--隆景の備中・讃岐・播磨進出
　--播磨上月城の陥落
　--荒木村重の信長離反
　--宇喜多直家の毛利氏離反
　--三木城の陥落と石山戦争の終結
　--因幡鳥取城の陥落
　--備中高松城の攻防と本能寺の変
　--隆景家臣団
--四 豊臣政権と隆景 -天正十年～十五年-
　--本能寺の変後の情勢
　--中央政界の動向と備後三原
　--小早川元総と吉川経言の上坂
　--秀吉の紀伊雑賀・四国出兵
　--秀吉の関白任官と隆景の伊予拝領
　--小早川隆景と吉川元長の上坂
　--四国国分と伊予河野氏
　--隆景の伊予統治と秀吉の九州出兵
　--小倉城・松山城・宇留津城の陥落
　--秀吉の九州下向と島津氏の降服
--五 隆景の筑前入国と朝鮮出兵 -天正十五年～文禄四年-
　--九州国分と博多再興
　--キリシタン禁令
　--立花城から名島城へ
　--九州各地の国衆一揆
　--輝元・隆景・広家の上洛
　--大徳寺黄梅院の誕生
　--隆景の居場所
　--北条氏攻め
　--北条氏の滅亡
　--「唐入り」に向けて
　--第一次朝鮮出兵
　--碧蹄館の戦い
　--晋州城の陥落
　--隆景の帰国と上洛
　--羽柴秀俊の隆景跡職継承
--六 隆景の三原隠退 文禄四年～慶長二年-
　--「拾」（豊臣秀頼）の誕生
　--羽柴中納言秀俊の筑前入国
　--「秀次事件」と豊臣六大老
　--玄蕃検地と隆景隠居料
　--隆景の三原隠退
　--隆景の死
　--隆景没後
　--問田大方
II 人脈と信仰
--一 人脈
　--大内義隆
　--陶隆房（晴賢）
　--大友義鎮（のち宗麟）
　--尼子義久
　--尼子勝久
　--宇喜多直家
　--宇喜多秀家
　--安国寺恵瓊
　--国衆渡辺氏
　--国衆宇平賀氏
　--足利義昭
　--織田信長
　--豊臣秀吉
　--徳川家康
　--棚守房顕
　--瀟岳鼎虎
　--玉仲宗琇
　--曲直瀬道三
　--乃美宗勝
　--能島村上氏（武吉・元吉）
　--因島村上氏（吉充・祐康）
　--来島村上氏（通雅・通総）
　--黒田孝高（のち如水）
　--石田三成
　--神屋宗湛
　--嶋井宗室
　--千宗易（利休）
　--羽柴秀長
　--コエリュ
　--伊勢御師（村山氏）
--二 信仰 -ゆかりの社寺-
　--厳島神社
　--大聖院
　--大願寺
　--楽音寺
　--巨真山寺（米山寺）
　--佛通寺
　--匡真山寺（宗光寺）
　--聖福寺
　--宗生寺
　--宗勝寺
　--勝運寺
　--伊勢神宮
　--大坂本願寺
　--大徳寺黄梅院
　--宗像大社
　--太宰府天満宮
　--筥崎宮
III 自筆書状に見る隆景
--一 国衆（国人）から戦国大名へ
　--（1）幼い頃の三兄弟
　--（2）厳島合戦
　--（3）毛利隆元の死
　--（4）元就の死
　--（5）毛利・織田戦争
　--（6）隆景の「自慢話」
　--（7）朝鮮出兵と隆景の帰国
　--（8）隆景の死と跡職
終 小早川隆景の実像
--はじめに
　--1 隆景前史
　--2 隆景の生涯
　--3 隆景の人脈と信仰
　--4 自筆書状に見る隆景