SF kidさんの公開ページ レビュー一覧

公開ページTOPへ

レビュー

復刊リクエスト 児童書・絵本
杉山 径一/作 ・ 小林 与志/絵
トラウマ名作

★ ☆ ★ ☆ あらすじ ★ ☆ ★ ☆彡
 ある朝、一平くんが目覚めると、ふとんのエリに土方さんから来た手紙が縫い付けられていました。それを読むと、一平君と再会したいので現在住んでいるところに招待してくれるというのです。
 土方さん一家とは、一平くんの現在住んでいる家の押し入れの中に穴を掘って住んでいた家族です。一平くんのお父さんとの交渉が決裂して押し入れの穴をセメントでふさいでしまったので、土方さん一家はどんどん穴を掘り進むことになったのです。   
 一平くんは、案内人の運平さんに連れられて地下の世界に向かいます。ところが地下の世界では政治的な動きがあり、大きく変わる激変期だったのでした。この激変期に地上からの訪問者・一平くんは巻き込まれていきます。果たして、地下の世界はどうなっていくのでしょうか。そして、一平くんの運命は……?
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆彡

 作者の杉山径一さんは本作の執筆意図について以下のように書かれています。
 
「初めの意図はかなりに“壮大”なものだったのです。日本国の全歴史、全領域の地下にわたって、濃密な闇の世界を存在させてやろう――というほどの意気ごみだった」
 
 よくは分かりませんがとにかくすごい構想だ。その後この構想はどうなったのでしょうか。もしこの構想が続けられていたらアシモフや田中芳樹の某長編シリーズのような壮大なシリーズになっていたのではないでしょうか。

2022/07/07

復刊リクエスト 児童書・絵本
佐野美津男
すごく不思議な短編集

佐野美津男さんの、すごく不思議なSFやらナンセンスやシュールなお話を集めた短編集。
表題作は、核戦争後に人類が築いた衛星都市を舞台とするSF。
わずか30ページながら、奥行きと広がりを感じさせる“超大作”。
さながら“30ページの小宇宙”。
そしてこの作品で描かれた悲観的な未来世界は、2014年の現代日本で現実化しつつあります……。

佐野美津男さんの本領発揮は、日常生活から突然不思議で不可解な世界に迷い込む……、
といった、日常と地続きの不思議世界を描いた作品でしょう。
本書でも、「犬の学校」「だけどぼくは海を見た」につながるような、そういった傾向の物語が何編か収録されています。
「犬の学校」「だけどぼくは海を見た」では、主人公は不思議な世界に行ったきりなんですが、本書では、元の世界に帰って来られるパターンが多いのです(中には行ったきりの作品もあります)。
復刊ドットコムでの復刊リクエストに寄せられたコメントを見ると、本書の収録作品は、初出が学習雑誌という作品が多いようです。
やはり学習雑誌としては、戻って来ました、めでたしめでたし、で終わる方が収まりがいいのではないでしょうか?
 読む方でも、そちらの方がスッキリとします。
しかし、向こうの世界に行ったきり、その後どうなってしまうのだろう、何で主人公はこんな目に合うのだろうか、
という結末の方が、色々と考えさせられ、記憶にも残るのではないでしょうか?
それに、よく考えてみると、私達が生きている現実の世界も、理不尽で説明がつかないことの方が多いですね。

なお、佐野美津男さんの挿絵といえば、中村宏さんが有名ですが、本書は山口みねやすという方が描いています。
本書の挿絵も、中村宏さんを思わせる、結構とんがった画風であります。
検索すると、山口さんが最近出された絵本が色々と出てきますが、本書の画風と比べると、かなり丸くマイルドな画風です。
本書出版当時の、とんがった時代を反映していたのでしょうか?
http://sfclub.sakura.ne.jp/sano02.htm
http://sfclub.sakura.ne.jp/

2014/01/06

幻のNHK少年ドラマ版。原作とは違うパラレルワールドの大冒険が展開されていた!

★(ケン・ソゴル消滅の危機! 芳山和子が時間と空間を駆けまくる!
幻のNHK少年ドラマ版では教師や大学教授も巻き込む大冒険活劇が展開されていた!!)★

NHK少年ドラマの原点であり代表作でもある『タイム・トラベラー』のシナリオ集です。
『タイム・トラベラー』の全6話、『続 タイム・トラベラー』の全5話のシナリオが完全収録されているお宝版であります。
番組冒頭で城達也が語る不思議なエピソードから、
「未来人ケン・ソゴルの運命はどうなるのか?そのお話はまた来週」……
というようなナレーションまで収録されているのが楽しいですね。

続編の『続・時をかける少女』の世界とは、筒井康隆の『時をかける少女』よりむしろこのNHK少年ドラマ版『タイム・トラベラー』の方がストーリー的に連続しています。
『続・時をかける少女』の幻の前作、と言えるでしょう。

『タイム・トラベラー』『続 タイム・トラベラー』がここまで多くの人に愛され、記憶に残る名作となり、NHK少年ドラマシリーズの礎を築いたのは、石山さんの尽力によるところも大きいのではないでしょうか。

映像の再現はほぼ不可能ですが、シナリオを見ればその一端を味わうことができます。
語られることの多い貴重な歴史的名作の完全シナリオ版を復刊する意義もあるのではないでしょうか。

『続・時をかける少女』に続いて本書もぜひ復刊を!

2011/07/18