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文芸書
氷室冴子 近藤勝也
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僕が「海がきこえる」を読んだのは出版されてから8年も経ってからだった。僕の中に読み終えた今があるのは、その頃の記憶と、そして偶然巡り会えた運、言ってみれば衝動買いのなせる技だ。
もう大学を卒業して社会に出ているはずの年齢の僕は、最初やはり感傷的になり、それから考えてしまった。拓のことだ。
拓はいつも世の中すべてのものに対してとても真摯で、明るく優しいけれどシンが通っていて、憧れさえ沸き起こってくるのを感じた。里伽子もとても魅力があるけれど、僕は拓が里伽子と渡り合う中で「マン」に近づいていく姿が、とても自分自身に対するプレッシャーになったものだ。

2001/04/06