【内容紹介】20世紀の思想に大きな影響を与えたフッサール現象学．未公刊である『イデーンII』の原草稿などを駆使し，最初期から最晩年までの思索を辿りながら，その方法の全貌を明らかにする．ハイデガー，メルロ＝ポンティ，レヴィナス，デリダらがなした批判に対して，フッサール現象学のもつ意味を捉え直し，現代的意義を探る．

【目次】
第I部 フッサール現象学の誕生と方法の成立
第１章 フッサール現象学前史――フッサールを意識の志向性の研究に向かわせた諸要因について
第２章 現象学の誕生――『論理学研究』
第３章 現象学的還元の生成
第４章 本質直観の生成
第５章 『イデーンI』における「純粋現象学」
第II部 静態的現象学から発生的現象学へ
第１章 『イデーンII』のテクスト成立史と原草稿について
第２章 純粋自我の現象学的分析と発生の問題
第３章 心と人格の現象学的分析と発生の問題
第４章 初期時間論における内的時間意識の次元の発見
第５章 習慣性を具えた純粋自我と受動的自我
第III部 発生的現象学の方法論
第１章 発生的現象学の理念の方法的自覚
第２章 具体的分析の試み――他者経験の構造と発生
第３章 還元の「新しい道」
第４章　後期時間論と「生き生きした現在への反省」の問題
第５章　最晩年の歴史的省察とその方法
終　章　フッサール現象学の現代的意義