激しく揺れ動くソ連現代史そのものを、三十余年にわたってソルジェニーツィンとともに生きてきた前夫人の回想手記。

その鮮烈な軌跡と、ソビエト知識人たちとの交わり、収容所群島の実情、文学的素材やモデルなど、これまで作品の背後に隠されていたノーベル賞作家ソルジェニーツィンの赤裸々な人間像を明らかにした書。
（巻末解説より引用）1974年出版。
オーナー評価★★★★★★★★☆☆

【目次】

１.戦争
額の傷跡の秘密　私と彼の学生時代　ダンス教室の出合いから　二人だけの結婚生活　便りだけを心の支えに　辛かった疎開旅行

２.前線
戦火のなかの文学論　数多くの初期ノート　モスクワ生活の始まり　再会に胸躍らせて　終局を迎えた前線　突然の音信不通

３.モスクワの査証
逮捕、そして訊問へ　誰が何を証言したのか　歪められた真実　ついにきた勝利　ただ待つだけの八年間　最初の面会　恩赦の期待もむなしく

４.マールフィノとマーヴリノ
「収容所群島」私の読み方　帰りを待つ女たち　形式的離婚　独りで祝った結婚記念日　リャザン大学助教授に　「煉獄のそとで」の出来事

５.イワン・デニーソヴィチとともに
ラーゲリからの便り　私とB・Cとの関係　収容所最後の１年間　揺れ動く私の心

６.村の教師
癌の再発　コク＝テレクの満たされた生活　すべてが帰ってきた　マトリョーナの死

７.静かな生活
執筆活動の再開　実現した自転車旅行　ある教師の一日　独特な健康法　図書読破計画　目まぐるしく変わる評価　夫の理想は「かわいい女」

８.階段
天才の権利　遠ざかる友人たち　深まるわだかまり　自殺を図った私　夫にとっての民衆　夫のどこかが変わった　愛の終わりが告げられた日