14 票
著者 | 鉈川鉱(ナタカワコウ) |
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出版社 | 桜桃書房 |
ジャンル | コミック・漫画 |
登録日 | 2009/05/10 |
リクエストNo. | 46618 |
リクエスト内容
別名を『掘骨砕三』とか『ほりほねさいぞう』とか『小瀬秋葉』とかもいう著者のもう一つの顔がある。
それがこの『鉈川鉱』。
1997年9月から1998年4月までの間に桜桃書房(=オークラ出版グループ=オークス)の成年向けアンソロジーに掲載された6編の短編がそのすべて。
その作品の総頁数は100頁ジャストにしかならないけど、たとえ単行本の厚みとしては薄すぎる分量でも、作品世界の厚みの方は、まったくもって半端じゃない。
ゴシュジンサマのオモチャとして生き存えてきた少女に、あらかじめ与えられていた残酷すぎる運命の詩『くりかえし』は、新しくやって来たオモチャな少女との無邪気で根源的な性の営みのさなかに人の生の儚さを詰めこんだ大人のための残酷童話。
宿賃代わりに徴収した少女(しっぽがあるけど)二人はあまりに貧相で喰う気もおこらない人喰いのフタナリ青年は、少し太らせてからと飼育を決めこむがミイラ取りがミイラになる『ひとくいの話。』は、体格差7倍のセックスが素晴らしすぎる二次元限定幻想奇譚。
鎖に繋がれ、殺し屋に飼われ、ただ生きていただけの目と耳と口が不自由な少女が最後に見た世界『NIGHT OF THE LIVING DOLL』は、シニックなラストに胸を刺される完全無欠の無声劇。
昔昔な南の島での風変わりな風習のお話『テタントルカ村の儀式。』は、生まれたときから当たり前のように天命を受け容れる生贄の少年の、紙一重すぎる至福に、得も言われぬ微睡みにつつまれる蝴蝶之夢。
同性からも異性からもハブにされイジメられる思春期乙女のどん詰まりバラード『カッターナイフ』は、ボコられ肉便器にされゴミバケツにされるくだりを徹底的に描写した冒頭からの13頁が凄まじい限りだが、ラスト3頁の鬼ゴッコのハードな結末は、グリム童話超級のシニックな残酷さに充ち満ちた、笑えない隣の日常。
喪服を脱げなくなった家出少女と、青年の、狂気の成れの果て『夜の虫螻』は、心臓の弱い方にはとてもお薦めできないけど、掘骨ファンの方へなら爆裂推奨クラスの、現実逃避的変身願望に充ち満ちた暗黒奇譚な必殺の一撃。
これらの作品群は死があまりにも近くに存在するが、だからといって決してカタルシスを強調させた作品ではなく、あまりにも自然に奇譚が日常的に描かれていることこそ希有な才能をもつ鬼才が鬼才たる所以だ。
投票コメント
全14件
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運命を理解していてもなお、あたりまえのように生と性に執着しようとする『アソビ』と『ネムリ』が私は好きすぎる。GOOD!1
生に執着することで自らの運命すら書き換える『ネズミ少女』が好きすぎる。
鎖に繋がれたまま、顧みられなかった『少女』の脳裏に、そのときいったいどれだけの救いがあったのか考えるだけで、身が引き裂かれる。
これほどまでに運命のみに翻弄されてもなお、『ココ』はシアワセだったとしか私には思えない。
最初の反抗が最後の反抗になったとしても、『思春期乙女』のなけなしの勇気を笑える者などいないはずだ。
『虫螻』が『虫螻』に成り果てようと、世界など何も変わらないということのほうが、寧ろコワイ。
100頁ジョートー。
単価3千円でも最低10冊は買うから、とにかく出してくれ。
あと1・2編描き下ろしをやっつけてくれれば、なお至福。
後書きと作品解説もヨロ。 (2009/05/10) -
堀骨氏めっちゃファンですGOOD!0
全部の作品がぜひ読みたい (2014/08/22) -
アンソロジーを集めるのも大変なのでGOOD!0
是非まとめて単行本化して欲しい (2011/05/28) -
あの世界観にはまっています、是非読ませてください (2010/12/19)GOOD!0
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どこを探しても読めないし、ファンとしては読んでおきたい。 (2010/12/14)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2009/05/10
『鉈川鉱 単行本(仮)』(鉈川鉱(ナタカワコウ))の復刊リクエスト受付を開始しました。
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