狂言は日本珠玉喜劇集。室町時代に成立し、古典とは言われるが、国家という垣根が取り払われ、世界中が海の彼方を憧れた時代の、茫洋とした精気が狂言の基底を流れ、四百年を飛翔して、現代人の心に密着した。常時上演される代表曲百番の筋と特色を述べ、鑑賞の手引きとする一方、通読して狂言の中に日本人の精神構造をうかがうことができる。

能楽研究家の小林責氏による狂言の手引き。代表的な演目百番をわかりやすく解説している。64頁におよぶ狂言の舞台を捉えた写真は同じく能楽研究家の増田正造氏が担当しており、往年の名優たちの練達の巧者ぶりを見事に捉えている。平凡社カラー新書122として1980年出版。144頁、定価は550円。

登録者の評価★★★★★★★★★★

＜曲目＞

【ア行】
悪太郎　悪坊　朝比奈　庵の梅　居杭　伊文字　入間川　以呂波　内沙汰　靭猿　瓜盗人　大藤内　右近左近　お茶の水　鬼瓦　伯母ヶ酒　御田

【カ行】
柿山伏　蝸牛　隠狸　蚊相撲　歌仙　金岡　鐘の音　鎌腹　神鳴　川上　清水座頭　木六駄　菌　籤罪人　見物左衛門　膏薬練　腰祈　昆布売

【サ行】
察化　薩摩守　佐渡狐　猿聟　三人片輪　三番三　三本柱　磁石　止動方角　清水　宗論　末広がり　素袍落　酢薑　墨塗　節分　惣八　空碗

【タ行】
宝の槌　狸腹鼓　千切木　千鳥　茶子味梅　茶壺　通円　月見座頭　筑紫奥　釣狐　釣針　唐人相撲　鈍太郎

【ナ行】
泣尼　那須　名取川　業平餅　縄綯　仁王　抜殻　寝音曲　禰宜山伏

【ハ行】
萩大名　八句連歌　鉢叩　花子　比丘貞　髭櫓　彦市ばなし　樋の酒　武悪　福の神　梟　附子　文相撲　無布施経　二人大名　二人袴　船渡聟　文荷　文山立　文蔵　棒縛　骨皮

【マ・ヤ・ラ行】
枕物狂　箕被　水掛聟　水汲　貰聟　八尾　八幡前　米市　六地蔵　呂蓮