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• 月に吠えらんねえ

  【著者】清家雪子

  萩原朔太郎や北原白秋など近代詩人の作品を擬人化した漫画、と云うと何処か軽薄な印象を持たれるかも知れません。
  一巻でこそ文学者を魅力的に書いただけの作品なのかと思いましたが、巻数が進むにつれてとても真摯な物語だと分かりました。
  戦争、愛国心、女が個人として生きることの困難、詩人が初めて必要とされて戦争を賛美する詩を書いたり書かされたりした時代。
  その一方で屈折した片恋をする朔くんや、朔くんを兄と呼び先生と慕いながら理想を押し付けるミヨシくんなど、詩人とは人並の幸福を得られない人だと愛しくなりました。
  作品には膨大な詩が引用されていて作者の文学への愛や理解は相当なものだと思います。
  過激な描写もありますが特に若い方に読んでもらいたいです。
  どのような形でも良いので復刊する日を待っています。(2022/11/21)