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• 調律の帝国

  【著者】見沢知廉

  驚くべきことに、文章表現が硝子のように透明で、耽美的なのである。獄中モノと銘打たれている小説等は、正直言って女性には読む気がしないし、どろどろした壮絶なだけのものも、興味がない。この作品が文学性に富んでいて、かつ名著であるのは、このような壮絶な体験をした当人が、それを見事なまでに美しく昇華できている処にある。ご本人も含めて限りなくビジュアル系である。そこが稀有であるし、絶版にしたままでは勿体無いと思う。(2005/03/06)