解釈学の巨匠に若き学徒が挑戦的に問いかけた哲学対話。ガーダマーの思考を現代哲学の地平においてとらえ直し、その生涯を明快に浮かび上がらせる。

「集団の夢」の偉大なる蒐集家ヴァルター・ベンヤミン。その特異な大著『パサージュ論』の思考の核心を解き放つ画期的な読解。

イタリアルネサンスから20世紀まで、輝かしい女性文化を花咲かせ時代の偉大な精神・知性を引きつけたサロンをヨーロッパ的規模で描き、失われた楽園を再現する。

古代律令国家の貴重な遺産である六国史。各書の成立事情や特質、中国正史との比較により日本の歴史思想の特色を浮彫りにする。重宝無比の入門書。

バリ島演劇に触発されたアルトーが、ヴァーチュアル・リアリティ論の先駆け「錬金術的演劇」を語り、五感を揺るがす「残酷演劇」を宣言する。

ドレフュス事件において＜知識人＞と呼ばれる階層の果たした役割の犯罪性を歴史的・思想的に明らかにする、第一次大戦後の初版刊行以来、版を重ねた名著。

自由の美名の下で、大国政治と巨大資本が文化の多様性を封殺している。不自由な自由を耐え、民主主義を再生させるオルタナティブ。

千葉県上総地方に伝わり現在も世界的注目を集めている井戸掘り技術を民俗技術論という新しい視点から解明。またその技術伝搬を辿るユニークな民俗報告書。

戦時下の能楽弾圧の史実に立って、鎌倉新仏教の精神と連なる大成期猿楽能を逆照射し、生の悲哀と苦患を凝視する悲劇的・否定的論理に貴重な精神的遺産を読みとる。

社交界、エチケット、狐狩り、服装、セックス、救貧院など、19世紀イギリスの風俗と習慣を描いた百科全書。ようこそ19世紀の英国へ。

精霊に性愛を支配されたモロッコの文盲の瓦職人。面談を通して、その幻想的な心理世界に分け入ろうとした、民族誌の約束事を逸脱する実験性みなぎる奇書。

資本主義と社会主義の区別を越える「制度主義」と、人間性回復に向かう農的世界とを構想する著者が、日本社会の矛盾を越えて持続可能な発展を追求する警世の書。

反事実的条件法、素質、帰納法など、＜非現実＞的なものに対して、経験論哲学はどのような解決を試みるのか。

400年にわたり強大な勢力を形成し、画壇での枢要な位置を占めてきた狩野派。その発端・成立・大成・終焉の史的流れから描く独創的な狩野派史論。

革命運動に身を投じてから謎の死を遂げるまでの随想録。塗抹された君主制否定論、武力革命肯定論、国家廃止論等も復元、枝盛の精神史と自由民権思想の解明に資す。

＜お雇い＞英国人の日本での活躍、渡英留学生たちの彼の地での見聞と生活を掘り起し、両国間の〈異花受精〉の具体相から、国際理解と文化伝播のありようを考察。