作家アナトール・フランス（一八四四−一九二四）は思想的には懐疑主義の流れを継ぐ自由思想家といわれる。本書はその随想集。宇宙全体がはしばみの実くらいに縮んだとしても、人類はそれに気づくことはないだろうとい...

「新生」はダンテ（1265‐1321）の若き時代の詩31篇を骨子とし、その由来を述べた散文を加えたもので、イタリア文学において文学史的見地から重要であるだけでなく、その純化した愛の観念、表現上の多くの独...

舞台は十六世紀イタリア、山賊の青年隊長と美貌の尼僧の恋という題材のなかに、スタンダールは時代をこえた恋愛心理の典型を見事に描き出した、随所に織りこまれた鋭利な心理描写は、この作をスタンダールの中篇小説中...

すべての道はローマに通ずる。ローマの歴史は世界の歴史である。マキアヴェッリ（1469-1527）は本書によって自分の祖国たるローマに対する激しい思慕の情を吐露し、7つの丘を直接の故郷とする彼はその経験と...

19世紀後半トルストイをも凌いだといわれるレスコーフは屈指の多作家で、ロシア民族のリズミカルな俗語や方言を駆使し、話術の妙を極めたその諸作品はロシアの素顔を知る上で見逃せない。

プヴァールとペキュシェというふたりの平凡な男がいろいろの社会体験を試みる話で、ブルジョワ社会の愚劣さを諷刺したリアリズム小説。この二人は、小作人と農業について語るかと思えば、村長と村の政治についうて議論...

【発行】岩波書店 【判型】文庫 スペイン支配下の南イタリア独立を企て挫折した自らの改革運動の理想化の試みとしてカンバネッラが獄中で執筆したユートピア論。 人間活動全ての基本的素描が対話の形で展開される...