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yososuzumeさんの公開ページ レビュー一覧

レビュー

  • おろち 全6巻

    楳図かずお

    哀しき運命を背負った人間の心理劇場

    年のとらないおろちは、一人の人物の一生を見とどける。おろちが寄り添う者の人生には、なぜか哀しい出来事が起こり、ときには右手に宿る不思議な力で助け、あるときは冷静に見つめ続ける。

    一番印象に残っているのが【ステージ】です。
    幼い頃、父をひき逃げした人気歌手に復讐する少年の話ですが、復讐を宿願とする少年の決意の強さが、強烈に伝わってくる作品でした。
    結末も、なんともいえない余韻を残しています。(2014/09/10)

  • エコエコアザラク

    古賀新一

    悪を懲らしめる黒魔術の魅力

    主人公は黒魔術遣いの女子高生。
    黒魔術というと悪に利用するイメージがあるが、この作品の主人公は、悪を懲らしめる。

    その対象はスケベなオヤジから、本当に悪い奴まで。
    腕力のない女子高生が強力な黒魔術で、悪い奴らを懲らしめる様子は、とても魅力的で爽快でした。

    またこの漫画の魅力は、不気味な絵を絶妙なところで挿入されていること。
    弁当箱いっぱいに蝶の幼虫が入っていて、それをムシャムシャ食べる場面なんて、かなり気持ちが悪かったけど、もの凄い迫力で、また見たくなる魅力がありました。(2014/04/10)

  • マカロニほうれん荘 1

    鴨川つばめ

    絶妙なハチャメチャギャグマンガ

    ハチャメチャギャグマンガの場合、ついていけないことが多いのですが、これは別格。
    お笑いの基本のようなものが詰まっています。
    落ちこぼれの落第高校生・金藤日陽と膝方歳三がボケ役、生真面目な新入生沖田そうじがツッコミ役となり、いい年して常識外れの行動をする金藤日陽と膝方歳三を、沖田そうじがツッコミを入れるというのを基本に、ときには沖田そうじがイジラレ役となって笑わせてくれます。
    鼻ヒゲをはやし一見ダンディーな膝方歳三が、突然子供の姿になって叫ぶ「トシちゃんカンゲキ!」が忘れられません。(2013/11/13)

  • どろろ

    手塚治虫

    父母を求める百鬼丸の戦い

    天下を狙う父によって魔神・妖鬼に売り渡された百鬼丸の身体四十八箇所。
    自分の身体を取り戻すための魔神・妖鬼との戦いは、どれもハラハラドキドキさせられました。
    百鬼丸の戦いは、結局、自分を捨てた父母を求める戦いだったような気がします。
    全ての身体を取り戻した時、百鬼丸と父母は普通の関係に戻れるのかも知れません。(2013/04/04)

  • バンパイヤ

    手塚治虫

    人が信用するのは、見える姿か見えない心か。

    主人公トッペイは、正義感の強い純粋な少年。
    しかし相手を憎んだり恨んだりすると、狼に変身し、相手を襲う。
    正義感が強いだけに悪いやつらを見ると、どうしても変身してしまうのだ。

    一方、間久部緑郎は悪の固まりのような人間だ。
    自分の利益のためには、何だってやる。
    しかし、彼は普通の人間であり、変身することはない。

    恐ろしい姿になるが心の純粋な人間と、姿は変わらないが心が醜い人間。
    この対極にある二人が中心に進む物語は、非常に奥が深い。

    やがて、獣に変身する『バンパイヤ族』の存在が人間社会に知られたとき、人間たちは彼らをどう扱うのか。
    トッペイの父とともにバンパイヤの研究をしてきた、バンパイヤの女性は言った言葉が、すべてを語っているように思える。

    「世の中には、かおかたちじゃなく、心がゆがんでて、どうしようもない人が、いっぱいいるわ。そんな人たちとバンパイヤとどっちがわるいのよ」

    人間とバンパイヤ族の結末が、非常に気になる作品だったが、この作品は未完で、結末が知れないのが残念。
    その答えは、我々自身で考えなければいけないらしい。

    この作品を読んでいると、『共存』という言葉が浮かんでくる。
    しかし、共存とは、相手を異質のものととらえている言葉だ。
    この共存の意識を無くすことが、姿が変わる者たちとの関係を築くヒントなのかも知れない。

    ミュータントの苦悩と、異能の力を恐れる人間を描いた「X-Men」も、同じテーマで創られた作品だろう。(2012/12/05)

  • 貸本版 鬼太郎夜話 完全復刻版BOX

    水木しげる

    あれこれ悩みすぎず、その場の感覚で行動する鬼太郎が心地いい。

    この『貸本版 鬼太郎夜話 完全復刻版BOX』は、かつて三洋社から出版された、貸本版鬼太郎夜話全四集をセットにしたもの。
    再び鬼太郎・水木しげるウェーブを起こした、テレビドラマ『ゲゲゲの女房』で説明すると、村上弘明演じる深沢洋一氏の出版社から出された本になる。
    その後、社長入院のドタバタで消えてしまったあの原稿は、第五集になるはずのものだったらしい。

    収録の物語は、各集に独立したタイトルがつけられているものの、それぞれに重なりながら連続しており、長編に山場がいくつもある構成になっている。
    物語はシンプルなのに非常に楽しめるのは、この長編のような構成も一因なのだろう。

    【第一集 吸血木と猫娘】
    歌手のトランク永井は、ねずみ男に吸血木の芽を植え付けられた。体は徐々に吸血木に支配されていく。
    一方、小学校の昼食でねずみを食べはじめた鬼太郎。すると隣の席の寝子(ねこ)が猫のようになってしまった。
    彼女が好きな鬼太郎は、もう学校へ行けないと落ち込む寝子を歌手にしてあげるため、トランク永井の元を訪れるのだった。

    【第二集 地獄の散歩道】
    ニセ鬼太郎は、ねずみ男と組んで本物の鬼太郎と入れ替わろうと画策。
    二人は『地獄からの旅行者』としてテレビ出演するものの、学者たちは『地獄の砂』を見せないと、死後の世界を認めないと言う。
    かくしてニセ鬼太郎は、『地獄の砂』を手に入れるため、地獄へ行くことに。

    【第三集 水神様が町へやってきた】
    鬼太郎の養父は、月給も上がらないのに家賃を倍に増やされてしまい、家計は非常に苦しい。
    そこで働くことにした鬼太郎は、借金の特別取立係りとなった。
    利子含めて一千万円にもなる取り立ての相手は、『物の怪』と『水神』という妖怪なのである。

    【第四集 顔の中の敵】
    ねずみ男は、隣の部屋に越してきた、口にチャックの付いている『ガマ令嬢』に恋をした。
    又隣の部屋に住む洋装の怪紳士もまた、ガマ令嬢を好きになった。
    鬼太郎は、あることを条件に、それぞれ二人にガマ令嬢との仲を取り持つと約束をするのだった。

    * * *
    この漫画に登場する『墓場鬼太郎』は、『ゲゲゲの鬼太郎』のように格好良くない。
    むしろ、寝ぼけた感じの非常に面白い性格をしている。

    何度もスリの片棒を担がされるほど単純で、
    しかし、その仕返しをする人間っぽさもあり、
    育ての親の家計が苦しくなると働きに出るけなげさもありながら、
    ある思惑で、やりもしない約束をするという、したたかさを見せる。
    また、女性にはめっぽう優しく、律儀者でもある。

    なんというか、その場その場の雰囲気に流されている感じだ。
    なのに、そんな鬼太郎が羨ましく、親近感すら湧いてくる。
    あれこれ悩みすぎず、その場の感覚で行動している様子が心地いいのかもしれない。

    ねぼけた雰囲気を持ち、その場の感覚で行動する墓場鬼太郎は、水木しげる自身なのかもしれない。
    水木しげるの自伝を読んでいると、そう思えてくる。(2012/07/12)

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