パリの「シネマテーク」は映画マニアにとって侵すべからざる聖域である。事務局長のアンリ・ラングロワは、無声映画から西部劇、ミュージカル、フィルム・ノワールと世界中の古い映画を公開し続けた伝説的人物だが、1968年初頭、彼が突然解任されたことに怒り、シネマフリーク達の反乱が始まった。

この小説の主人公、18歳のアメリカ人留学生マシューは、そのシネマテークで双子の兄妹テオとイザベルに出会う。美しく奇矯な双子に強く惹かれたマシューは、両親が田舎へ出かけたあとの彼らのアパルトマンで共同生活を始める。１人が映画の一場面を演じ、他の２人がその題名と監督を当てるゲームに興ずるうちに、３人の間にはエロティックな関係が生まれた。街頭で吹き荒ぶ五月革命の嵐をよそに、彼らは危険な性のゲームを続けるが……。鬼才Ｂ・ベルトルッチにより映画化された鮮烈で哀切な青春小説である。