サムエル記
預言者サムエル，サウル王，ダビデ王の事蹟が詳しく記され，外敵に悩まされたイスラエル民族がサムエルの指導の下に結束してこれを征服し，エルサレムを首都ときめるまでを伝える．宗教経典として尊重されてきたものであるが，ここに描き出される古代イスラエル王国成立の歴史は，一般の読者の興味を大いにそそるであろう．

イザヤ書
旧約の預言書中「イザヤ書」は量・質ともに第1位をしめる．ここには当時の疾風怒濤の政治状勢を背景として預言者たちの卓抜な神観・歴史観・世界観が古典的な姿で浮き彫りにされる．本書上巻には第1イザヤの預言書，下巻には第2イザヤならびにいわゆる第3イザヤの預言書を収める．死海文書中のイザヤ写本を参照した原典である．

エレミヤ書
繊細で優しい心情と祖国に対する深い愛情をもちながら，偶像を排し，唯一の神に対する絶対の貞潔をきびしく人びとに求めたため迫害を受けたエレミヤは，苦悩する預言者という名に適わしい人であった．人びとを愛するがゆえに民の堕落には神罰の下らんことを求め，祖国の滅亡を預言し，その終末を身をもって体験する．

エゼキエル書
イザヤ，エレミヤとともに3大預言者といわれるエゼキエルは，イスラエルの第1回捕囚の人びととともにメソポタミヤにあって神の召命を受けた．イスラエルの人びとの淫行，偶像崇拝が神の仮借ない裁きにあってエルサレムは亡びるが，その滅亡の中で無気力と絶望の淵に沈む同胞に，預言者エゼキエルは希望と勇気を吹きこんでゆく．

十二小預言書
預言書とは，特定の個人（預言者）を通じて神が人間全体に語り示した，神と人間との契約の言葉である．ここに収められた，不貞の妻への愛を神に命じられて苦悩するホセアや，神命に背き大魚に呑まれたヨナたちの物語は，その預言の書であると同時にまた，真に人間らしく生き抜こうと努力した人びとの記録の書でもある．
（以上岩波書店ホームページより）

日本を代表する聖書研究者だった関根正雄氏による翻訳です。教文館から単行本版が刊行されていますが、信仰者の便宜のため文庫版の復刊を望みます。
なお『詩篇』のみ別にリクエストされています。