16世紀において、海の男たちが生命を託していた帆船。航海中の危険が多かった時代、航海の安全を得るため、神の加護を受けて魔物から逃れ、さらに敵を威嚇するために船首に飾られた像。それが船首像すなわち、フィギュア・ヘッドであります。本書は永く運輸省航海訓練所教授を務めた著者が、船首像の歴史を豊富な図版とともに解説した、他に類を見ない貴重な書です。写真頁のライオンや鳥などの動物から女人像まで、ヴァリエーション豊かな船首像はただ観ていても面白い。写真撮影は中村庸夫。平凡社カラー新書123として1980年出版。144頁、定価は550円。

登録者の評価★★★★★★★★★★

【目次】

◇カラー版8頁：船首像－船の守護神～現役船にみる船首像

■船首像の起源
船と迷信　船首像の神秘性

■紀元前の船首像
ヨーロッパと船　ヨーロッパ・地中海沿岸の紀元前船首像

◇カラー版8頁：船を飾る～船の装飾いろいろ

■十六世紀以前
十五世紀以前の船首像　十六世紀の船首像

■十七世紀
ヨーロッパ海運　船首像の特徴　ビークの型とライオン像　豪華な複合像

■十八世紀
英国海軍の船首像　ヨーロッパ列国の船首像

■船首像鎮魂
軍艦の巻　商船の巻

◇カラー版48頁：船首像のいろいろ～各国の帆船・汽船の船首像各種

■アメリカ船の船首像
模倣の時代　独創の時代

■日本船などの船首像
日本の船首像　カヌーの船首像