2001.12.1
株式会社ブッキング 左田野 渉

復刊ドットコムご利用の皆さまへ

 週末の夕方、吉祥寺に足を伸ばしてみました。
中学生の娘と待ちあわせて、神田三省堂で参考書&読書用文庫本選びに つきあった後、御茶ノ水のキッチンカロリーで名物カロリー焼きを昼食に、 その後事務所に寄ったついでのことです。この日、吉祥寺のブックス・ルーエ というサンロード商店街にある大きな書店さんでは、キン・シオタニ氏のサイン 会があったのです。
 キン・シオタニ氏は実は二度ほどブッキングの事務所に来られたことがあり ます。元まぐまぐ社長の木嶋氏が連れて下さったのです。氏は自身の著書 「ばかと40人の青年たち」が絶版になってしまったことを悲しんで、復刊の可能 性を打診に来られたのでした。それは不思議な本でした。下記は、私が読んで みた感想文です。

吉祥寺のストリート・アーティストとして活躍する、キン・シオタニが描く、版 画と詩のアンソロジー。エスプリと不条理に満ち満ちた著者固有の世界は、それで いて温かなユーモアにくるまれて、画と文に触れる者にエネルギーを与える。
ムンクのようでいて、ルオーのようでいて、棟方志功のようでもあって、それでも やはりキン・シオタニなのだ。
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 さて、サイン会の方は、行ってみて、たまげてしまいました。この日は廣済堂 出版さんから、氏の新刊「空中散歩」が刊行されたことを記念しての催事でした。 ブックス・ルーエさんの店頭で整理券を渡され「エッ、そんなに混んでいるの?」 と訝しみながらお店の裏に回ってみれば、何と50人ものお客さんがサイン待ち で並んでいるではありませんか。それも、この日、2回目のサイン会だというに。 僕も関係者ズル込みはせずに、並んで待つこと1時間、ようやく回ってきた順番 に「凄い人気じゃない!」と言えば、シオタニ氏は童顔を恥ずかしそうにしながら 「空中散歩」に、僕の似顔絵?らしき絵を書いて下さいました。
 新刊もやはり不思議な本でした。写真と詩の構成なのですが、写真にはキン・ シオタニ本人と思しき、透明なプラスチック片に色を塗った青年が空中にぷかぷか と浮遊しておるのです。何となく悲しげで、それでいて自由な味わいのある不思議 な光景です。以下は、「空中散歩」の54頁の詩です。こういうナンセンスが僕は大 好きです。他にも「塩コーヒー」なんて愉快な詩も彼は書いてます。
(「空中散歩」収録じゃないですけど・・・)

「与作と巨木」
与作が木を切るその時に
切られる巨木は泣き叫ぶ
「やめてくれー」
「私が何をしたというのだ」
「雨の日も風の日も何十年もここにいて」
「歴史を見ながらまっすぐ育ってきただけだ」
「あんたの都合で切られたくはない」
しかし与作は聞こえない
家に帰れば母ちゃんが、味噌汁作って待っている
家に帰れば子供たちが、かわいい笑顔で待っている
ヘイヘイホー

● キン・シオタニ 著「ばかと40人の青年」
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