2001.10.30
株式会社ブッキング 左田野 渉

復刊ドットコムご利用の皆さまへ

前からやってみたいと思っていたことがあります。それは復刊ドットコムの投 票銘柄の感想文の執筆です。最近は原本提供を投票者の方からご厚意で受ける ケースも多く、特に出版社発売でなく、ブッキング発売が想定されるケースは 著者交渉や広告の企画を考える上で、やはり原作に目を通しておく必要があり ます。私は親会社の日販の社員仲間で「日販ブッククラブ」(最近、あまり活 発でないですが)というメイリングリストに参加していますので、こちらの方 に読んだ作品の概要と感想を必ず書き込むようにしています。新刊、絶版を問 わずに書き込んでいますが、佐々木丸美先生の本などは片っ端から読んだので、 相当数の作品数が溜まっています。ことに絶版本は手に入れたくても大半の方 は手に入れられないわけですし、復刊交渉の方も短期間で実現する本ばかりで はありませんので、ネタバレにならない程度で、そのエッセンスをお伝えして みたいなと思うわけです。もっとも文藝書やコミックはともかく、専門書や技 術書はちょっと辛いですが。以下は、世界名作劇場「南の虹のルーシー」の原 作本で、復刊投票でも80票を集めている「南の虹」の、私の読後感想文です。 ちなみに、この書籍は、ただいま講談社交渉中であります。

フィリス・ピデングストン作、一関春枝訳(講談社セシール文庫)
1982.6.17 @880 4-06-145080-8 絶版

世界名作劇場「南の虹のルーシー」の原作。ポップル一家は、新天地オース
トラリアにイギリスから移住した。新しい大きな農園主となることを夢見て。
しかし現実は厳しく、新天地は未だ混乱の中にあり、一家は貧しい生活を余
儀なくされる。又、六人目の末子アダムスはピクニック途中で事故死してし
まう。しかしそんな暗いことの続く中でも長男ベンや長女クララを筆頭に、
5人の子供たちは両親を手伝い、健気に働く。又、原住民アボリジンズとも
微笑ましい交流を行う。中でも泣き虫で、お茶目なルーシー・メイは紳士プ
リンストンとの交流を作り、父が農園主となるチャンスをもたらした。一家
はようやく新しい農園と広いすみかを、プリンストン氏の世話で手に入れ、
クララは幼なじみのジョンと結婚生活を始めるために、一家を巣立ってゆく。

オーストラリア版「大草原の小さな家」とも呼ばれる本書は、オーストラリ
ア移民一家の、新しい生活への奮闘を描くが、その主人公たちは、一家の明
るく、可愛らしい娘たちだ。新しい生活に不満不平たらたらだったり、ある
ときは見慣れぬ環境に怯えながらも、常に新しい喜びや驚きを見出し、笑い、
弾んでいる。それにしても一家の団結度合や、この家の父の権威は、もはや
日本には見当たらないもののようである。家族を小さなゲットーとして団結
する欧米文化は、今の日本とあまりに対照を為し、読んでいて、若干の落ち
着きの無さを感じるというのは言い過ぎだろうか。

●「南の虹」投票ページ
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=1518