2001.9.5
株式会社ブッキング 左田野 渉

復刊ドットコムご利用の皆さまへ

 悲しいお知らせです。ここのとこずっと佐々木丸美先生の復刊リクエストに 応えるべく、私と竹林が交渉にあたっておりました。われわれも復刊投票点数 においてナンバー1である佐々木先生の作品を何とか復刊を実現させようと努 力してまいりました。私は個人的にも佐々木先生の作品が好きです。「雪の断 章」の主人公飛鳥のひたむきさ、「崖の館」で繰り広げられる教養とウィット に富んだスピーディな議論の展開。その広い教養に支えられた、真っ直ぐな情 熱は強烈な魅力に溢れています。この佐々木丸美ワールドの独特な世界を、何 とか復興したいという思いで交渉に当たってまいった次第であります。実際に、 毎週末には先生に復刊を嘆願する書簡を発信し、その回数は30回に及びまし た。又、ファンクラブの方々に同行して頂いて、先生がお住まいになっている 雪の北海道に訪問に行って、3mはあろうかという新雪に嵌まり込んでしまっ たこともあります。やれる範囲で、精いっぱい交渉いたしました。

 しかし願いは叶えられませんでした。先生は復刊を認めては下さいませんで した。詳しい事情は申し上げられませんが、先生はやや健康を害しておられて、 もう出版の世界とは離れて生きてゆきたいとのことでした。先生と直接に言葉 を交わした末に、先生ご自身が下された結論です。読みたい読者の方々から、 著作権者がその権利を奪うことの間違いを何度も先生に訴えましたが、やはり ご無理との回答でした。

 前にも申し上げましたように絶版は経済的な事情から発生する場合と、トラ ブル系の理由から起因するケースがあります。前者は出版社が抱える問題で、 後者は著作権者から発生する理由です。本件は、まさに後者のケースでした。 われわれも余程のことがない限り、前者の理由では復刊を絶望といたしません。 例えば投票上位の中で「藤子不二雄ランド」「ドラゴンランスシリーズ」「江 戸川乱歩推理文庫」などは、あまりに巻数が多いため、その資金負担額の大き さにたじろいでしまいます。しかし、経済的理由から復刊を回避したことは、 バービー人形のキャラクター版権の取得に、米国の版権管理会社に数千万円の 支払を要すると判った場合だけです。しかし著作権者側の理由、これだけは、 いかんともしがたいのです。

 われわれは諦めの悪い集団です。出版社が「出せない」と言えば、ブッキン グ発売します。「版下も原本もない」と言われれば、投票者に協力を募ります。 「海外著作権が切れた」と言われれば、海外著作権エージェントに出版権を再 交渉いたします。「音楽事務所ともう繋がりがない」と言われれば、知りあい の音楽事務所を使って、伝手を求めます。出版社の窓口の方に、一回無理だと 言われて引き下がるようなことでは、復刊なんて殆ど成立しないからです。し かしそれでも世の中頑張ったからといって報われるわけでもありません。佐々 木先生には佐々木先生のご事情がありますから、そこは理解せねばならないと 思っています。5年、10年、いつの日か佐々木先生のご健康が回復された時、 私が復刊ドットコムの仕事に、まだ携わっていたなら、その時こそ改めて交渉 を再開しようかと思います。